コラム

 公開日: 2016-10-09 

映画「それでも、愛してる」、これがうつ病になった中年男の本音だったのか!

今回取り上げた映画はこれ



「それでも、愛してる」という邦題ですが、現代は「the BEAVER」そう、エアコンで有名、ビーバーちゃんです。ビーバーと言えば、ネズミの仲間で日本名は「海狸」。と言っても、川に住み、泥や流木なんかでダム湖を作り、そのダム湖の中央に木の枝で巣作りをする、というなかなか器用な愛すべき動物ですが、この映画ではちょっと扱いが違います。

テーマは「うつ」メル・ギブソン演じる、玩具会社のCEO、ウォルター・ブラックがうつ病になってしまいます。カウンセリングや薬物療法では改善しなかったのに、ある日打ち捨てられようとしたビーバーのパペット人形を見つけたのです。思わず左手にはめてみたところ、ウォルターは人が変わったように生き生きとなり、うだつの上がらなかった社長が一気に業績改善の立役者に!

ところがそれとは反対に家族関係は悪化していきます。ソリャそうでしょう、左手にビーバーの人形をはめ続け、まるで腹話術師のようにビーバーに本音を語らせる父親を受け入れるのは至難の業。ついに別居にいたり、家族は家を出て行ってしまいます。ここまでのストーリーを見ていると、昔映画であった「ジキルとハイド」や「マスク」を思い出しました。うつになり自己主張できない男が左手にはめたビーバーのパペット人形を通じてなら腹話術のように本音をペラペラ言葉にしてしまうのです

ここまでの様子は、ユング的に言えば「影」が動き出した、とでも言えるような流れです。人間の表の顔に出てこない「裏の本音」の部分を「影」とユングは言いました。この「影」は誰にでもあるもので、普段は意識に上ることなく、無意識の状態です。しかしこのビーバー人形や映画「マスク」に出てくるような形で日常生活に吹き出してくると、これはまるで人格が変わってしまったようになりうるのです。

映画に戻ると、前半は可愛いビーバー人形が活躍して、ちょっとコメディタッチなのですが、後半そのビーバーが主体性を持ち出してウォルターを操るようになってからは、かなりホラーな雰囲気に。そしてクライマックスは・・・・・・ネタバレで書けないのが残念ですが、えぇぇ!こうきたか!!という感じの終盤を迎えます。

「うつ」の映画ではありますが、いわゆる「うつ病」かどうか・・・日本映画の「ツレうつ」みたいな雰囲気を期待するとがっかりしますよ。でもいろいろと考えさせられる映画であったことは確かです。ちなみに監督は、奥さん役を演じたジュディ・フォスターさんでした。興味を持たれたら、レンタルビデオ屋で探してみて下さい。

◇◆◇ こんな映画も興味津々 ◇◆◇
映画「少年は残酷な弓を射る」:少年はどうしてこんな残虐な行為をしたのだろう?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51890/
アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51903/
あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52565/
映画「デタッチメント 優しい無関心」:みんなが誰かの助けを求めている
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52294/
映画「精神科医ヘンリーカーターの憂鬱」:精神科医は自分を治療できるのか?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52105/
映画「パパが遺した物語」:大切な人を失った心の空洞
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/53383/
映画「博士と彼女のセオリー」:一人の人間、ホーキング博士を描いた作品
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/53089/
映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52937/
映画「奇跡の2000マイル」:人生の砂漠を歩く女性の生き様
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52931/
映画「バイバイ、ママ」:「ママっ子男子」はアメリカでも!
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52748/

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