コラム

 公開日: 2016-05-09 

「こわれゆく女」:現代の機能不全家庭のあり方を40年前に描いた問題作

今回見た映画はこれ

こわれゆく女

TUTAYAの発掘良品のの中の一つでレンタルしました。
なかなか最初は映画の中に入りにくかったのですが、後半になるにつれ、これはひょっとしてものすごい作品では!?と思い始め引き込まれましたね。ただ、一般受けする内容ではなく、また視聴者をほとんど意識していないのではないか、と思うぐらい俳優陣がリアルにしかもそれぞれが半端なく闇の部分をさらけ出してくれるので、入れる人にはたまらない作品かもしれません。

タイトルの「こわれゆく女」とは主人公ニック(あのコロンボ刑事のピーターフォーク)の妻メイベル(ジーナ・ローランズ)のことです、映画のレビューをいくつか読んでみると、邦題の「こわれゆく」で精神的に壊れていく、というイメージに取られがちですが、どうも見ている限り「凶器」と言うよりも「対人関係の障害」に近いようです。原題も「A Woman under the influence」であり、特別精神的な狂気を表しているとは思えなかったのでうすが・・・。

ま、それはともあれ、妻のメイベルが対人的な場面で奇異な行動や発言が目立ち、感情的に不安定なわけです。しかし見ているとピーターフォーク演じる夫のニックもかなり不安定な人で、お互いがお互いを刺激し合いながら、しかし他に行くところもなく離れられない、と言う印象を受け、いわゆる共依存的な機能不全家庭なのです。しかもどうやら妻の発言の裏を見ると、メイベルと実父の間になにやら性的な関係の匂いが・・・・。隠された過去、隠された問題、隠された敵意・・・。

そしてその夫婦には3人の幼い子どもがいるのですが、その子どもの表情や態度の方にその影響がすべて及んでいる様子がありありと。「(母メイベルの不安定な言動に)何だか良くわからないけれど、お母さんのことを愛しているよ」
「世界で最高のお母さんさ」などという発言を子どもの方から母親に語り掛けるシーンや、メイベルの奇妙な言動に怒り殴りかかる父ニックに、子どもたちが必死で抵抗して母を暴力から守り抜こうとするシーンなど、何とも現代の機能不全家庭のリアリティがほうふつとされるのでした。


でもこの映画は1974年の作品なのです。アメリカはすでにこの当時から家族の病をはらんでいたのでしょうね。そして今日本でも同様の問題が、メディアを賑わせています。そういう意味で、とても現代を象徴する作品であるとともに、「事実は小説より奇なり」というように、この作品を鏡にしてさらに深刻な現代と言う時代を見つめなおさずにいられない作品なのでした。

◇◆◇ 時代を映す映画も
映画「「クワイエット・ルームにようこそ」:おもしろうて やがて悲しき映画かな
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52739/
映画「西の魔女が死んだ」:気が付いたからには目をそらすことはできない「自分」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52560/
映画「セブン・サイコパス」:やれやれ、まともなのは俺だけだ、と思っているサイコパスの話
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52407/
映画「エレファント・ソング」:助けて・・・・僕は誰からも愛されてこなかった・・・
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52288/
映画「マーサ、あるいはマーシーメイ」:マインドコントロールから抜け出す苦しみ
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52112/
「hikikomori」を描いたドキュメンタリー映画を紹介します。
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52107/


うつ・発達障害・不登校・不適応等のお悩みに カウンセリング・オフィス岸井

□■□■□■□■  【カウンセリング・オフィス岸井】□■□■□■□■   
              ☆初回面接は無料です☆
JR・阪神「元町」阪急「花隈」神戸市営地下鉄「県庁前」駅からいずれも徒歩5分         
電話:090-1243-9646  メールはホームページからもできます

この記事を書いたプロ

カウンセリング・オフィス岸井 [ホームページ]

臨床心理士 岸井謙児

兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL:090-1243-9646

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
岸井 謙児(きしい けんじ)プロ

豊富な経験を生かし、相手に寄り添って希望を見出す手助けを(1/3)

JR・阪神元町駅、阪急花隈駅、神戸市営地下鉄県庁前駅からほど近い閑静な場所にある「カウンセリング・オフィス岸井」。カウンセラーの岸井謙児さんの元には、不登校、発達障害などの悩みを抱える思春期から青年期の子どもたちや親が多数訪れています。...

岸井謙児プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

子供から大人まで長い経験からさまざまな悩みに対応します。

事務所名 : カウンセリング・オフィス岸井
住所 : 兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL : 090-1243-9646

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-1243-9646

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

岸井謙児(きしいけんじ)

カウンセリング・オフィス岸井

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
イメージ

今回取り上げた映画はこれ岡山県にある外来の精神科診療所「こらーる岡山」に通院するさまざまな人たち。...

[ 「こころ」を描いたこんな映画 ]

ADHDのライフハック<17>目からうろこ!全社員が発達障害者のオフィスがスゴイ!

世の中には色々な世界があるもので、今回紹介する会社は、社員のほぼ全員が発達障害者のオフィス。twitterで噂に...

[ ADD/ADHDの方のためのライフハック ]

ADD/ADHDの方のためのライフハック <2> ~ホワイトボードは役に立つ!~
イメージ

生活のライフハック(仕事術)を実践してみて報告しています。前回は、「To  Do List」を作ってみようというこ...

[ ADD/ADHDの方のためのライフハック ]

あなたへ贈るネットで見つけた感動秘話。「ママに優しくしてあげたくて生まれてきたんだからね」

ネットで色々な話を読ませてもらっていると、こんな素敵なお話しが。どうしてもあなたに紹介したくて引用させて...

[ ちょっと気になるあれやこれ ]

笑っているうちに思わず泣けてきました・・・・発達障害児の生き辛さを描いた漫画「ニトロちゃん」
イメージ

最近読んだ中でも、飛び切り印象に残ったのが、これ「ニトロちゃん」作者の沖田×華(おきたばっか)さんは、...

[ 発達障害を考える ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ