コラム

 公開日: 2016-05-07 

イマージナリーフレンドとの別れという通過儀礼を描いた作品「ポビーとディンガン」

今回見た映画はこれでした。



これはなかなか印象に残った秀作でした。テーマは、少女の「イマジナリー・フレンド」との別れ。「イマジナリー・フレンド」というのは、文字通り「空想の中の友人」ですが、はジブリの「思い出のマーニー」なんかにも通じる成長期の少女の繊細な世界に現れる存在です。そしてこの映画の主人公の一人の少女ケリーアン(9歳)には、ポビーとディンガンという二人のイマジナリー・フレンドがいたのです。

あくまでも空想の中での話なので、周囲の人達、特に親には見えるはずもなく信じてもらえません。お兄ちゃんのアシュモールも初めは信じていませんでした。しかしケリーアンのあまりに真剣なまなざしに、心動かされたアシュモルは彼女の思いを認めたのです。映画では描かれていませんでしたが、兄のアシュモルもきっと心のどこかでおなじような体験をしたことを思い出していたのではないでしょうか。

大人になるともうすっかり忘れていますが、人は誰でもまず自分の心の中に「自分でありながら自分ではない誰か」を見つけ、その人と関わることで「自分と言うもの」に気が付くようになるのです。最初にも触れたジブリの「マーニー」や「千と千尋の神隠し」の物語など、まさしく、その年齢の少女の心の中の、現実と空想の狭間に産み出されたファンタジックな経験を物語にしたものだと思いますね。

そしてそういう体験の中の友人との別れを通じて、子どもは空想の世界から現実の世界へと新たに産み出されていくのです。ウィニコットという心理学者はその体験を「脱錯覚」と言いましたが、日本語訳のニュアンスは別にして、夢の様な世界から現実へと目覚める体験を表しているのでしょう。具体的に言えば「私のパパ・ママは世界一」と見えていたのが「なんだパパもママも普通の大人じゃないの」と気がつくような体験でしょうか(^^;)具体例を挙げると、ちょっと味気ないですけどね(-_-;)

そしてその別れと現実世界への導き手となるのが、「父親」の役割。この映画でも、空想の友人ポビーとティンガンを見失わせるきっかけとなたのが、父親でした。「目に見えているものだけがすべてじゃない」ということを大切にしながら、しかし一方では「我々は地に足をつけて現実を生きざるを得ない」存在であることを知らせることも、父親の果たす役割、また子どもが大人になって行く通過儀礼の役割かもしれませんね。

◇◆◇ 「目に見えているものがすべてじゃない」ことを大人も思い出そう!
多様な生き方に理解を!映画「パレードにようこそ」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51524/
映画「こぼれる月」:強迫性障害とパニック障害の苦しみをリアルにを描いた作品
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51769/
映画「サンドラの週末」:「うつ病」からの職場復帰の厳しさと回復への道
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51864/
映画「アリスのままで」:若年性アルツハイマー病に侵された大学教授の闘い
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51907/
映画「明日、君がいない」:若者のリアルな姿を描いた作品
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51645/
映画「少年は残酷な弓を射る」:少年はどうしてこんな残虐な行為をしたのだろう?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51890/
アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51903/
あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52565/
映画「デタッチメント 優しい無関心」:みんなが誰かの助けを求めている
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52294/
映画「精神科医ヘンリーカーターの憂鬱」:精神科医は自分を治療できるのか?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52105/
映画「パパが遺した物語」:大切な人を失った心の空洞
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/53383/

うつ・発達障害・不登校・不適応等のお悩みに カウンセリング・オフィス岸井

□■□■□■□■  【カウンセリング・オフィス岸井】□■□■□■□■   
              ☆初回面接は無料です☆
JR・阪神「元町」阪急「花隈」神戸市営地下鉄「県庁前」駅からいずれも徒歩5分         
電話:090-1243-9646  メールはホームページからもできます

この記事を書いたプロ

カウンセリング・オフィス岸井 [ホームページ]

臨床心理士 岸井謙児

兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL:090-1243-9646

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
岸井 謙児(きしい けんじ)プロ

豊富な経験を生かし、相手に寄り添って希望を見出す手助けを(1/3)

JR・阪神元町駅、阪急花隈駅、神戸市営地下鉄県庁前駅からほど近い閑静な場所にある「カウンセリング・オフィス岸井」。カウンセラーの岸井謙児さんの元には、不登校、発達障害などの悩みを抱える思春期から青年期の子どもたちや親が多数訪れています。...

岸井謙児プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

子供から大人まで長い経験からさまざまな悩みに対応します。

事務所名 : カウンセリング・オフィス岸井
住所 : 兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL : 090-1243-9646

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-1243-9646

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

岸井謙児(きしいけんじ)

カウンセリング・オフィス岸井

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
イメージ

今回取り上げた映画はこれ岡山県にある外来の精神科診療所「こらーる岡山」に通院するさまざまな人たち。...

[ 「こころ」を描いたこんな映画 ]

ADHDのライフハック<17>目からうろこ!全社員が発達障害者のオフィスがスゴイ!

世の中には色々な世界があるもので、今回紹介する会社は、社員のほぼ全員が発達障害者のオフィス。twitterで噂に...

[ ADD/ADHDの方のためのライフハック ]

ADD/ADHDの方のためのライフハック <2> ~ホワイトボードは役に立つ!~
イメージ

生活のライフハック(仕事術)を実践してみて報告しています。前回は、「To  Do List」を作ってみようというこ...

[ ADD/ADHDの方のためのライフハック ]

あなたへ贈るネットで見つけた感動秘話。「ママに優しくしてあげたくて生まれてきたんだからね」

ネットで色々な話を読ませてもらっていると、こんな素敵なお話しが。どうしてもあなたに紹介したくて引用させて...

[ ちょっと気になるあれやこれ ]

笑っているうちに思わず泣けてきました・・・・発達障害児の生き辛さを描いた漫画「ニトロちゃん」
イメージ

最近読んだ中でも、飛び切り印象に残ったのが、これ「ニトロちゃん」作者の沖田×華(おきたばっか)さんは、...

[ 発達障害を考える ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ