コラム

 公開日: 2016-04-05 

知的障害があるとは言えないが、ないとも言えない子どもと親の苦しみ「はざまのコドモ」

前回このコラム「こういうことでお困りではありませんか?」では知的障害の診断基準について簡単に説明しました。その中で知的障害があるかないかについて、必ずしもIQ(知能指数)だけですべてが決まるものではないことを述べましたが、まさしくその通りの息子さんを持たれた母親・君 影草さんの実体験を、発達障害のある漫画家・沖田×華さんが描かれた漫画「はざまのコドモ」を読みました。

はざまのコドモ

この漫画、実は君 影草さん自身がネットマンガとして「はざまのセイカツ」というタイトルでアップされていますよ。もしそちらを読みたければこちらをどうぞ。「はざまのセイカツ」

知的障害児・者に交付される療育手帳(東京都では「愛の手帳」)は、色々な障害者に対する援助・サービスを受けるためには必要なものです。その手帳があれば、いわゆる「支援学級」や「特別支援教育」「特別支援学校」に入学できる可能性が高まります。君さんの息子さんは小さい頃から「睡眠障害」(これは発達障害児には良く見られる)に悩まされ、家でも学校でも生活リズムの狂いから色々と大変な思いをしてきました。

その時点で学校は息子さんを転校させようとしたり、障害を理解できずに親のしつけの悪さに原因を求めて非難してきたのでした。それでもなんとか「広汎性発達障害(現在の自閉スペクトラム症)」の診断はもらえましたが、どうもそれだけでは説明できない生活上の困難を抱えていたのです。

その状態から判断すると、どうやら知的な能力にも遅れがあるようです。そこで先ほど述べた「療育手帳(愛の手帳)」を交付してもらい、特別な支援を受けようと診断をしてもらったのです。

知的障害はIQ(知能指数)だけでなく、生活上の適応状態や社会性も甘味して判断する必要があるのですが、残念ながら現実の役所では従来通り、IQによって判断されていたのです。一般に役所では知的能力障害の基準はおおよそIQ70~75以下とされているのですが、君さんの息子さんが受けた検査で出された結果は、なんとIQ78。

78でも大目に見て交付してあげれば良いじゃないか、とも思いますが、役所と言うところはそうはいきません。残念ながら、知的障害の診断はされずに、「境界知能(いわゆるグレーゾーン)」だという結果に。その結果、息子さんに必要な特別な支援もサービスも、何より周囲の理解も得られずに、中途半端で障害児でも健常児でもない「はざまのコドモ」になってしまったのです。

その結果からくる、息子さんや母親である君さんの困惑や葛藤、不安に満ちた日々が描かれています。もちろん暗いムードだけではなく、さっぱりとしたギャグも交えながら(実際はそんな状態ではなかったでしょうけれど・・・)描かれています。

実際のところ、私の経験からいっても君さんの息子さんのように「知的障害があるとは言えないが、ないとも言えない」子どもたちは沢山います。特別支援学校に通っていなくても普通学級で普通授業を受けている子どもも、場合によってはクラスに一人ぐらいはいるのかもしれません。その子どもたちの存在になかなか気が付きにくく、また気が付いても手帳がもらえない限り特別な支援が受けられていないのも、今でも同じでしょう。どうすれば手を差し伸べることができるか、現場の教員やスクールカウンセラーの感受性と理解が求められています。

興味ある方はゼヒお読みください。沖田さんの絵なら、本で、君さん自身の絵ならネットで読めます!
◇◆◇ 「特別な子ども」なのではなく、「特別な支援を受ける権利がある子ども」なのです
IQ(知能指数)だけで判断するものではない「知的能力障害」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/56030/
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