コラム

 公開日: 2016-03-02 

身体障碍を持つ女性と前科を持つ男性との愛を描いた映画 「オアシス」

今回取り上げた映画はこれ



コンジュという名の身体障碍を持つ女性とと前科を持つ男性との間の見事な愛情表現の映画であり、さらに加えて障害者の性と愛、障害者差別の実態をも表した映画です。

主人公の男性は前科があり、最初はヒロインのコンジュに不埒な目的で近づいたようでしたが、そのうち本当の愛に目覚めていくことになります。その過程が、身体障碍を持つヒロインのイメージ世界をも借りて描かれていきます。この表現には思わず引き込まれました。素晴らしい!

それにしても、この女優さんはなかなか見事でしたね。私も本当に彼女は障害をお持ちなのか、と思わされましたが、途中イメージ世界に入るときは、スッと健常な女性に変化してゆきます。その演技のすばらしさ!!

ヒロインの前科のある男性もなんとなく軽い知的障害を感じさせましたが(この演技も見事でした)、ただ、そういうこととは関係なく、二人の間に芽生えた愛情の深さを感じさせられたドラマでした。

ただこの映画は、たぶんさまざまな切り口で語ることができる作品なのだと思います。恋愛に焦点を当てても良いですが、障害とともに生きる方々の社会における立場の切り口から語ることも可能でしょう。
確かアマゾンのカスタマーレヴュー欄に

〝私も重度障害者、本を読んでから映画を見てガッカリしました。コンジュの気持ちが半分も表現されていないことにです。
そして、演技は私達の障害をよく理解・観察された上での演技ですごいと思うと同時に私もあんな風に見えるのかとショックでした。いろんな意味で、障害者を美化してない映画で嬉しくもありどこか悲しくもあります。以前、ネットをしていて今どき信じられない差別をされました。この映画、「純愛」だけで終わらせてほしくないと思います。〟(ゆめ色イルカさん)

という投稿がありましたが、私もヒロインのコンジュの気持ちをもっと表現できれば、と少しもどかしく思ったのも事実でした。純愛という点ではよく伝わってきたのですが、それ以外の場面でコンジュが感じながら、表現できない(あるいは、しない)内容、つまり障害への「差別」や運命への「あきらめ」を背景に、色々な思いを切り離して感じないようにしてしまっている本当の姿がもう少し表現されていれば、と思いました。

たぶんそこのところ(「どうしたらわかってもらえるのか」「どうせわかってもらうのは無理に決まっている」というあきらめ)が一つのテーマなのでしょう。そしてそれが伝わるかもしれない、という希望を感じさせてくれる関係が愛情に基づく共感なのではないでしょうか。クライマックスの二人の行動が、そのもどかしさやあきらめに対する希望を感じさせてくれました。

それにしても、日本ではなかなか触れられない内容(障害者の性と愛、差別の実態等)に取り組んだ映画として素晴らしい作品でした。

みなさんも興味をもたれたら、ぜひ一度ご覧ください。

◇◆◇ こんな映画も胸を打つ
映画「アリスのままで」:若年性アルツハイマー病に侵された大学教授の闘い
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51907/
映画「明日、君がいない」:若者のリアルな姿を描いた作品
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51645/
映画「少年は残酷な弓を射る」:少年はどうしてこんな残虐な行為をしたのだろう?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51890/
アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/51903/
あやしうこそものぐるほしけれ 映画 「17歳のカルテ」
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52565/
映画「デタッチメント 優しい無関心」:みんなが誰かの助けを求めている
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52294/
映画「精神科医ヘンリーカーターの憂鬱」:精神科医は自分を治療できるのか?
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52105/
映画「パパが遺した物語」:大切な人を失った心の空洞
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/53383/
映画「博士と彼女のセオリー」:一人の人間、ホーキング博士を描いた作品
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/53089/
映画「精神」:「病と共に生きる人」、そしてその彼らと共に生きる人
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52937/
映画「奇跡の2000マイル」:人生の砂漠を歩く女性の生き様
http://mbp-kobe.com/officekishii/column/52931/

うつ・発達障害・不登校・不適応等のお悩みに カウンセリング・オフィス岸井

□■□■□■□■  【カウンセリング・オフィス岸井】□■□■□■□■   
              ☆初回面接は無料です☆
JR・阪神「元町」阪急「花隈」神戸市営地下鉄「県庁前」駅からいずれも徒歩5分         
電話:090-1243-9646  メールはホームページからもできます

この記事を書いたプロ

カウンセリング・オフィス岸井 [ホームページ]

臨床心理士 岸井謙児

兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL:090-1243-9646

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
岸井 謙児(きしい けんじ)プロ

豊富な経験を生かし、相手に寄り添って希望を見出す手助けを(1/3)

JR・阪神元町駅、阪急花隈駅、神戸市営地下鉄県庁前駅からほど近い閑静な場所にある「カウンセリング・オフィス岸井」。カウンセラーの岸井謙児さんの元には、不登校、発達障害などの悩みを抱える思春期から青年期の子どもたちや親が多数訪れています。...

岸井謙児プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

子供から大人まで長い経験からさまざまな悩みに対応します。

事務所名 : カウンセリング・オフィス岸井
住所 : 兵庫県神戸市中央区花隈町9-25 グランピア下山手通 002号室 [地図]
TEL : 090-1243-9646

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

090-1243-9646

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

岸井謙児(きしいけんじ)

カウンセリング・オフィス岸井

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
人は「物語」によって、辛い「現実」を自分なりに受け入れるのだ・・・映画「怪物はささやく」

大変興味をもちながらも、いろいろ忙しくて時間が合わずに見に行けなかった映画「怪物はささやく」。ようやっと先...

[ 「こころ」を描いたこんな映画 ]

久しぶりのJIJICOのコラムです。テーマは「体罰の現状について」
イメージ

マイベストプロの専門家による時事コラムJIJICOに久しぶりに記事を載せていただきました。内容は「体罰の現状に...

[ JIJICO ]

ストレスから身を守るためには・・・・・遊びが一番!?

5月に入りました。GWも過ぎ、いよいよ本格的に始動!という時期ですが、学生・社会人を問わず新しい環境や職場に置...

[ こころの散歩道 ]

映画「ぼくと魔法の言葉たち」 喜びと悲しみはディズニーアニメとともに

今日紹介する映画はこれ少し前に見た映画ですが、今でも上映しているかなぁ?2歳になって突然言葉を失...

[ 「こころ」を描いたこんな映画 ]

春に想う
イメージ

久しぶりの記事の更新です。初夏のお天気が続きますが、みなさんお元気ですか?この時期、木々の緑を見ているとな...

[ こころの散歩道 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ