コラム

 公開日: 2015-10-25 

聴覚障害の子を持つ母の生き様を見事に描く:映画「きれいなおかあさん」

今日紹介する映画はこれ
「きれいなおかあさん」

きれいなおかあさん

ホントにきれいなお母さんなのですが、実はこの映画は息子の聴覚障害を巡って、親子の間で繰り返される心の葛藤を描いた秀作です。

お母さん役を演じたコンーリーは数々の賞をもらっただけあって、確かに真に迫る演技で、感動を誘ってくれます。

私は以前聴覚障害児と関わってきたので、障害を巡る親子の幼い頃からの努力や葛藤など様々な状況についてある程度は知っています。そういう立場から見ても、この映画は良く描けていると思いますね。

「この子は言葉さえ話せるようになれば普通の子なんです」「本当にこの子はどこも遅れていません。言葉だけなんです」という意味のセリフが特に映画の前半はたびたびお母さんの言葉として発せられます。本当に母親としての心からの訴えでしょう。

だから本当に誠心誠意息子に言葉を教え込みます。「私は勉強は得意ではありませんが、一文字ずつ3年間教え続けました」しかし小学校の入学テストでは残念ながら落ちてしまうのでした。

厳しい現実です。確かに言葉だけが問題な子どもがいるのは確かですが、その「言葉」を身に着けるのに大変な努力と取り組みが必要なのです。ですから映画だけでなく、現実でも多くの親は本当に一生懸命、子供の将来のために努力されます。その姿は本当に頭が下がります。

しかし難しいのは、子ども本人にいかに自分の障害について自覚をさせるか、理解をさせるか、その点でしょう。小さいうちは良いのですが、次第に自分自身に気が付く年齢になると悩まざるをえません。できれば、思春期に入る前に教えて自覚させる方が良いのだろうとは思いますが、実際にそれを伝えるタイミングや伝え方について親の悩みは尽きないでしょう。この映画はこのむずかしさもきちんと描いてくれています。

息子のジョン・ダーは、小学校の子どもたちに囲まれて補聴器をからかわれ、自分について向き合わざるを得なくなります。そして悩み、反抗した後お母さんに発した言葉は
「なんで僕だけ補聴器をつけなければいけないの?」

この心からの問いにお母さんは、悩みためらいながらもきちんと説明をしました。
「あなたは他の人とちがうの。耳に障害があるから。 わかった?」

この真剣で混じりけのない答えを聞いた息子は
「ボク、怖い」と言ってお母さんに抱き付く息子に母親は「怖くないよ、ママがいるから」と答えたのでした。
この障害と向き合わざるを得ない、本当に難しい問いかけに応えるお母さんを描いた場面がこの映画のすべてを表しているのかもしれません。

なお聴覚障害をもつ息子ジョン・ダーは、本当に聴覚障害を持ち当時聾学校に通っていたガオ・シン君という子が演じて居ましたが、本当に素晴らしい演技でした。もちろんコン・リーの演技の素晴らしさを十分に堪能できる作品だったということは言うまでもありません。

興味を持たれたらゼヒ一度ご覧ください。

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