コラム

 公開日: 2015-09-13 

映画「博士と彼女のセオリー」:一人の人間、ホーキング博士を描いた作品

今日取り上げたのはこの映画

博士と彼女のセオリー

映画「博士と彼女のセオリー」はイギリスの天才理論物理学者、スティーヴン・ホーキング博士と彼の元妻ジェーエンとのなれそめから、彼の発病、その後の活躍とそれを支えるスティーヴンとジェーンの努力、それにもかかわらず彼らの関係の破たん、そしてそれ以後の人生の軌跡について比較的淡々と描かれた作品でした。

私は勉強不足でホーキング博士の理論や経歴についてはよっく知りませんが、それでも難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しながらも研究を続けている姿は映像で知っています。

ALSという病気は日本ALS協会のHPによると
“筋萎縮性側索硬化症は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気です。
変性というのは、神経細胞あるいは神経細胞から出て来る神経線維が徐々に壊れていってしまう状態をいい、そうすると神経の命令が伝わらなくなって筋肉がだんだん縮み、力がなくなります。
しかもALSは進行性の病気で、今のところ原因が分かっていないため、
有効な治療法がほとんどない予後不良の疾患と考えられています”
とのことです
日本ALS協会より転載)

もちろん病気や障害がその人自身ではなく、その人となりの一部分に病気や障害が影響を与えているのです。ですから一人の人としてそれぞれの人生を送られることは当然ですし、ステレオタイプ化した見方は誤解を産むかもしれませんね。

そういう意味でこの映画はホーキング博士の夫婦の破たんや再婚まで描かれていて、単なる「お涙頂戴」ものではありません。一部には「ホーキング博士の業績や思考の過程が十分描かれていない」という批判もあるということですが、そういう側面よりもやはり人としての悩みや迷いが描かれているという点で、私は大変興味深かったです。

最後にALSとは違いますが、同様に脳腫瘍の影響で身体の能力を徐々に失っていった文化人類学者ロバート・マーフィーさんの著書「ボディ・サイレント 病と障害の人類学」(辻信一訳 新宿書房)より彼の鋭い洞察を引用しておきます。
彼自身徐々に進行する身体麻痺の社会的な意味について、以下のように考察しています。

“身体障害者は、ほぼ文字通りの意味で、肉の虜(とりこ)である。
だが思えば、身障者ならずともたいがいの人は多かれ少なかれ囚われの身だ。
自分で作った壁に囲まれて生きること。
文化によって建てられ、自分自身の恐怖によって補強された鉄格子の間から人生を傍観すること。
このように文化への隷属が物化され固定化された形は、肉体でできた私自身の『拘束服』よりもたちが悪い。
なぜなら、それは身体ばかりでなく心の麻痺を引き起こし、思考の静寂を招くから”

彼は身体の麻痺を通して、人間の心の麻痺の問題を見抜いているようです。
ALSや身体障害は、あくまでも人生の自由に対する麻痺のメタファーでしかないのかもしれません。

他人ごとではありません。

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