コラム

 公開日: 2017-12-15 

貴乃花親方の沈黙(2)

 一般論として、警察も検察も事件の「本筋」をきちんと読んで捜査を進める。「オモテ筋」は日馬富士の「単独犯」であるが、「ウラ筋」は「モンゴル力士勢によるリンチ」である。ウラ筋での「主犯格」は横綱・白鵬ではないかとの疑念が湧く。誰が直接的に手を下したかは問題ではない。「ちょっと可愛がってやれ」とハッキリ言わなくとも、そうとわかる「目配せ」などをしたのは誰か…という話である。「オモテ筋」では、白鵬が日馬富士の暴行をやめさせたことになっているが、そうだとすると日馬富士が貴ノ岩を何十発も殴る間(結構長い時間である)、白鵬がこれを制止せず「放置」していたのは何故か…と言う大きな疑問が残る。「もうそれくらいにしておけ」と親分が制して子分に暴行をストップさせるという場面は何処にでも転がっている。

 ただ、本件はラウンジの中の個室と言う「密室」において起きた事件である。モンゴル力士勢みんなが口をつぐめば「真実」は絶対オモテには出てこない。刑事事件では警察・検察が犯罪について100%の立証責任を負う仕組みになっている。幾ら「嫌疑」が濃厚でも、捜査結果のどこかに「穴」があったりして「公判維持」が困難になる可能性がある状況では、なかなか立件できないのである。その意味で、警察も検察も、ウラ筋での立件を不可能と見て、オモテ筋でカタをつけなければ仕方がないと判断しているものと推察される。

 日本相撲協会も日馬富士を引退させることで、早々に本件「暴力騒動」の決着を図ろうとしている。「トカゲのしっぽ切り」と言うにはかなり大きな代償であるが、そうでもしないと世間が納得しない。実際に「指示」を受けて暴行に至ったのか、それとも「誰か」の心中を「忖度」して動いたのかは別にしても、日馬富士が「実行犯」として貴ノ岩に怪我を負わせた責任を負うべきことは間違いがない。協会としてはもう1日でも早く「暴力騒動」が収拾されればそれで良い。大記録を更新中の「大横綱」を先頭に、ようやく「相撲人気」を取り戻しつつある協会にとって、これ以上の「水入り」はご免こうむりたいところだ。

 ところが、貴乃花親方の「沈黙」が協会の「既定路線」を阻んでいる。日本相撲協会の「危機管理委員会」としても、貴ノ岩からの事情聴取をしないままに事件の「総括」を行い「再発防止策」を打ち出すわけには行かない。どうせ、まともな「総括」や「再発防止策」が打ち出されるとは世間の誰も期待していない(そもそも「暴力体質からの脱却」は、ずいぶん前から協会が打ち出してきた大切なテーマであった)が、このままでは協会としては、絶対に格好がつかないのである。

 ところで、危機管理委員会の高野利雄委員長は、元名古屋高検検事長というたいへんエライ経歴をお持ちのお方である。この御仁がおっしゃるには「貴乃花親方は、捜査が終了したら協力すると言ったのに、書類送検が終わったのに協力しないのはおかしい」とか。しかし、「書類送検」は警察の捜査が終了したことを意味するものの、検察の捜査は送検後も継続され、終局処分(起訴・不起訴)はまだ決まっていない段階である。それを警察の捜査終了をもって事件の捜査終了などと公言する「元高検検事長」には、同じ法律家として「おや?」と感じてしまう。「検察の捜査は、警察の捜査の『上塗り』だからどうでもよい」というのが、元高検検事長の「ホンネ」かもしれない。いずれにせよ、日本相撲協会の「焦り」が、この委員長の言動にも強く波及してしまっているのだろう。

 そんなわけで、日本相撲協会と一部「御用マスコミ」の結託による「貴乃花バッシング」はまだまだ続きそうである。(…つづく)

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