ことばを育む国語教育のプロ
コラム
2012-02-08
「そうです。」
前から変に思っているのだが、なにか質問しているのに、「そうです。」とか、「そうそう。」とかという声がまず返ってくること。「明日は何時ごろお発ちですか。」「そうですね。9時ころかな。」などと。奇異にも何とも感じないだろうか。「そう」とはなにを肯定しているのだろうか。
おもしろいことに、われわれ日本人はもう鎌倉時代からこんな会話をしているのである。ご存知かもしれないが、例の『徒然草』の中に、「丹波に出雲といふところあり」236段で、聖海聖人が神社の獅子の立ち方について、「深いわけ」をたずねたところ、神官が「そのことに候」と言うのだ。生徒たちは別に何とも思わないらしいが、わたしが「よほど日本人は相手に合わした会話を好むのだね。」と言いながら、その奇妙さについて語るると、「なるほど」と感心してくれる。
わたしの身近にいる人も、すぐに「わたしも」と「も」をつけて、決して「が」とは言わない人がいる。同調こそが会話の提要とばかりに。すぐに「いや、違う」と否定から入る人も困るが、この同調したがり会話も、そろそろなんとかした方がいいのではなかろうか。
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