コラム

 公開日: 2014-11-13 

日本語と英語の背景文化の違いについて~亀田先生の講義より

同志社
昨日、同志社大学今出川キャンパスで行われた、同社大学名誉教授 亀田尚己先生の国際ビジネス講演会に伺ってきました。「グローバルビジネスと英語コミュニケーション」というテーマのこの講演は大変にわかりやすく、内容も濃く、私が敬愛する亀田先生のプレゼンテーション・スキルの素晴らしさを満喫させていただきました。先生のご専門は国際ビジネスコミュニケーションですので、まさに神戸ビジネススクールが目指すところであり、いつもヒントをたくさんいただいています。

その中で、特に「なるほど!」と思ったのが異文化理解の大切さに関連するお話の中での、ある考察でした。日本語と英語の背景文化の違いを理解することなくして、コミュニケーションは成立しないというご説明の次に、亀田先生はその原因に言及されました。その一つは、日本は「べからず文化」であるということです。「べからず」(~してはいけない)というのは禁止表現ですが、日本では昔から立て看板・張り紙・回覧文書などにおいて、この表現を多用してきました。

「立ち入り禁止」「ここで泳いではいけません」また取扱説明書には「掃除の際には洗剤を使わないでください」などなど。そう言われて私も他の例を考えてみましたが、「火気厳禁」「天地無用」」「展示品に手を触れないでください」 時代劇などで見る立て札では、「この橋わたるべからず(一休さん?)」「馬つなぐべからず」など。 本当に様々なことを私達は禁止されていますね。

これに対し英語圏では、「しなさい文化」という肯定命令文を使う、と先生は指摘されます。先生の英文を日本語に直して比較すると、
-Keep off. (外にいてください)つまり「入るな」の意。
-Swim at your own risk. (泳ぐなら自己責任で) at your own risk = 危険は自己負担で
- Wipe the cabinet with a dried cloth. (掃除の際には乾いた布でふいてください)

「なるほど!」ですよね。そしてその原因として先生は、孔子の言葉とキリストの言葉を比較しておられます。(以下、配布資料より抜粋)
◆ 己の欲せざるところを人に施すなかれ (孔子)
Do not do unto others what you would not have them do unto you.

◆ 人にして欲しいと思うことを人にもしてあげなさい (キリスト)
Do unto others as you would be done by.

文化と宗教は密接につながっているので、このように長い歴史の中で宗教観から培われてきた文化を、国際ビジネスでは理解しなければなりません。そして更に、このグローバル社会ではもう一歩進んだ考察が必要になります。孔子やキリストの時代には、地球の反対側の国の人と交流することはありえませんでした。ですから、「自分がしてほしいと思うこと」に対する、ある程度の共通認識はあったわけです。しかし現代においては、自分がして欲しいと思うことは、他の国の人にとっては迷惑あるいは、失礼なことかもしれない、ということを認識していなければなりません。

亀田先生は、上記のキリストの言葉に更に付け加えておられます。
◆ 人がして欲しいと思うことをしてあげなさい。ただし、それは自分がしてほしいと思うこととは違うかもしれない。
  Treat others as they would like to be treated - which may be quite different from the way you would like to be treated.

文化背景が異なる国の人と接する時には、常にこのことを意識する必要がある。そう気づかせていただいた意義深い講演でした。

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