コラム

 公開日: 2016-07-07 

遺贈は放棄できる?遺言書と異なる遺産分割について

遺言者は、遺言書を作成することで自身の財産を自由に相続人やそれ以外の第三者に遺贈することができます。
しかし、遺贈は決して強制力のあるものではなく遺言者の一方的な意思表示に過ぎません。つまり、相続人または第三者がそれを受け取るかどうかも自由であり、放棄することも可能なのです。

では仮に受け取りを放棄した場合、遺産分割はどうやって行うのでしょうか?今回は遺贈を放棄した場合の遺産分割についてご説明します。

遺贈を放棄するケース

相続人または第三者が、遺贈を放棄するのはどういったケースなのでしょう?それはほとんどの場合、相続人間でのトラブルを回避するためです。

遺言者が、相続人または第三者の中の特定の一人に対し自身の全財産を遺贈するといった内容の遺言をした場合、その特定の一人がそれを受け取ることによって、他の相続人との間でトラブルが起きる可能性が高まります。さらに、その特定の一人が配偶者や子供などの法定相続人ではなく、まったくの第三者であればなおさら、トラブル発生の可能性は高くなります。

また、ほかには積極財産だけではなく、借金も含めた消極財産もあわせて引き継ぐ包括遺贈の場合、遺贈を放棄するといったケースもあります。

特定遺贈を放棄した場合の遺産分割

遺贈には、特定遺贈と包括遺贈の2つがあります。

特定遺贈とは、遺言者が特定の者に対して特定の財産(例えば、「○○に持っていた土地」「▲▲の株」)を遺言によって贈与することです。

特定遺贈を受けた者は、時期の制限はなくいつでも放棄することができます。ただし、相続人等から特定遺贈を承認または放棄の意思表示をするよう迫られた場合、どちらかの意思表示をしないままでいると特定遺贈を承認したとみなされます。

この特定遺贈を放棄した場合の遺産分割ですが、基本的には遺贈が放棄されると遺言者の死亡時にさかのぼってその効力が生じます。そのため、最初から遺贈はなかったことになります。それにより、相続財産全部について遺産分割協議により相続人間で自由に遺産分割できることになります。

包括遺贈を放棄した場合の遺産分割

包括遺贈とは、例えば相続人以外の第三者に「相続財産の半分を与える」といった形で、遺言によって相続財産全体に対する配分割合を示して贈与するものをいいます。

包括遺贈を受けた者は相続人と同一の権利義務を承継することになりますので、被相続人の積極財産だけではなく借金などの消極財産も受け継ぐことになります。

包括遺贈の放棄は、自分が包括遺贈の受遺者であることを知ってから、3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。この場合、借金などの消極財産のみを放棄することはできず、積極財産とあわせてする必要があります。

遺産分割ですが、第三者が包括遺贈を受けた場合、その者も含めて、全ての相続人との間で協議しなければなりませんが、包括遺贈を放棄した場合、その者を除いた相続人だけで協議することができます。

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