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 公開日: 2016-06-06  最終更新日: 2016-10-19

任意後見制度 問題点と不利益を被らないための注意点

任意後見契約は法定後見に比べ、本人の判断能力が十分である時に結ぶ契約のため、詐欺や悪質な手口の被害を受ける可能性が少ないと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

今回は現在の任意後見制度の問題点とともに、それによって不利益を被らないために注意しなければいけないことについてご説明します。

任意後見制度の問題点-1-制度が実際に開始されるまでの期間

任意後見制度は、任意後見契約をした時から実際に制度が開始される時までに間があります。長い方になると数十年の期間が空く場合もあります。間が空くということは、ご本人が健康で判断能力も衰えることなく過ごしているということですから、それ自体は何の問題もありません。ご本人やご家族にとって、喜ばしいことです。

しかし、任意後見契約をした当時は身近に家族や親族もいて、仮に万が一のことがあった場合はすぐに任意後見人を立てて制度を開始できる状態だったとしても、それから数十年過ぎまわりに誰もいなくなってしまった時に、本人が認知症などによって判断能力が不十分になったことを誰も気づかないような状態になった場合に問題となります。

任意後見は本人の判断能力が不十分になった時点で家庭裁判所に後見開始の申立てをしてはじめて効力が生じますので、任意後見の効力発生時期が遅れてしまうことで、その間に悪徳商法や詐欺などに合い財産を失ってしまうといったリスクも高くなっていきます。

任意後見制度の問題点-2-見守り契約や財産管理等委任契約

任意後見制度には、最適な開始時期を見誤らないようにするための見守り契約というものがあります。また、判断能力は衰えていないものの怪我や病気によって思うように動けなくなったため、財産管理や事務手続きを代理人に委任する財産管理等委任契約というものもあります。

それぞれ本人に不利益がないよう、利用するための制度です。しかし実はここにも大きな問題があります。

まず見守り契約についてですが、これは定期的に本人に連絡を取り、生活状況や健康状態を確認しますが、年月が過ぎていくごとにだんだんと疎遠になってしまい、その結果、任意後見の開始申立時期を遅らせてしまうといったことがあります。

また、財産管理等委任契約については、本人が既に判断能力が不十分になったにも関わらず、財産管理等受任者があえて家庭裁判所に後見開始の申立てをせずにそのまま不適切な契約や財産処分を行うことで不当な利益を得て、本人に不利益を生じさせるといった事件も起きています。

不利益を被らないための注意点

財産管理や事務契約等で不利益を被らないための注意点です。

任意後見契約や見守り契約、財産管理等委任契約を結ぶ時点ではまだ判断能力があるわけですが、今一度契約する相手方が本当に信頼できる相手であるかじっくりと考えて下さい。

また任意後見契約は公正証書ですることが当然必要ですが、見守り契約、財産管理等委任契約を結ぶ際でも、公正証書で作成するようにするのが望ましいでしょう。自分の身をしっかりと自分で守れるよう十分に注意し契約をしてください。

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