コラム

 公開日: 2009-11-29 

薬物治療について④-「うつ病への対応⑧」-


神経に作用する薬を飲むと、ボーっとしたり、眠気が強くて寝てばかりいることがあります。

それに対して、普通の人の感覚であれば、
    「これは薬がきつすぎるのではないか」
    「このままでは薬に依存したり、薬漬けになったりしないか」
と思います。
もちろん、普段仕事をしたり、家事をしたり、車の運転をしたりしている人に対して、ボーっとしたり、眠くなったりするようなレベルの薬を出すと支障をきたすのでよくありません。
しかし、自宅療養や入院が必要なほどのうつ病-うつ病に限らず他の心の病気であってもそうですが-の人に対しては、このボーっとしたり、眠くなったりするほどの薬が有用なことがあります。

一般に、うつ病をはじめとする心の病気では、頭の中でマイナスのことをグルグルと考え続けて神経を使い、エネルギーを消耗しています。
神経衰弱となり、エネルギーを消耗すると、自宅療養や入院が必要になります。
そのときに医者からは「ゆっくりと休むように」と言われますが、目が覚めていると、頭の中でどうしても同じことを考え続けてしまい、休息をとることができません。
これでは体を休めても、心は休まらず、本当の休息にはなりません。

そうしたときに薬がその手助けをしてくれます。
治療の初期、ボーっとしたり、眠くなったりするほどの薬を飲んでもらうのは、この
    「休息する」
という視点からは、とても意味のあることなのです。
最初の頃は1日に10時間、15時間寝てもマイナスにはなりません。
それだけ休息できていることであり、その方が早い回復を期待できます。

いつまでも寝てもらってばかりでは困りますが、最初の時期に例え、薬を使ってでもゆっくりと休息をはかると、余計なことを考えない分、早く気持ちの余裕を取り戻し、本来の自分を取り戻してきます。
その後、徐々に薬を減らすとよいのです。
ぼーっとしたり、眠くなったりするのは必ずしも悪いことではなく、良い面もあるのです。

                              泉 和秀

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精神科医 泉和秀

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