コラム

 公開日: 2014-09-02 

どのような温度で人と接するか?

小学校の頃、私は当時の長嶋茂雄になぞらえて「燃える男」というあだ名をつけられていました。
普段はボーっとしているのですが、何かに一つのことに集中するとまわりのことが視野に入らなくなり、熱中する癖があったからだと思います。
計算のスピードを競うとき、算数の難問を解くとき、野球をするとき。
その打ちこむ雰囲気が他の人とは一線を画していたのだろうと思います。

その後の人生においても、そうした傾向性を持ち続けていました。
おこがましいかもしれませんが、ライオンみたいな感じだったような気がします。
普段はいい加減に寝そべってぼんやりしているのですが、ここ一番になると集中力が高まり、熱くなるところがあったのです。

こうした傾向性を持っていることは、自分自身においては特に問題ありませんでした。
ただ人と接するときには大きな問題があったように思います。
ぼんやりしているときはいいのですが、熱くなっているときにはその熱くなったままで人と関わります。
すると、どんな感じになるかというと、要するに、自分の考えが最善だと思いこんでしまい、それを押しつけるような感じで関わってしまうんですね。
他の人の意見など聞く余地もなく、「絶対にこれがいいんだ」といった感じで関わってしまうんです。

社会人になって4~5年経った頃より人前で講演することが増えてきましたが、そのときも「とても情熱的なお話でした」とよく言われました。
情熱的と言えばいいような気がしますが、それは裏を返せば、「圧倒されて少ししんどかった」ということかもしれませんし、「ちょっと受け止めきれませんでした」ということだったかもしれません。
すなわち、私が人にお茶を出すならば、沸騰しきった100℃のお湯でお茶を入れて、「さあ、お茶を入れましたよ。これ以上ないくらい熱い最高のお茶です。さあ、どうぞ!」と言っているようなものですね。
だれでも温かいお茶を飲みたいと思うでしょうが、100℃では熱すぎて飲めませんね。

お茶というのは大体、60℃くらいの温度で出すのが一番です。
そこには相手の立場に立った思いやりがあります。

人と関わるときもそうですね。
自分の情熱を100%ぶつけると、たいていの人はついてくることができません。
情熱のある人は、つい周囲にも自分と同じものを求めがちですが、相手との温度差に思いを配ることが大切です。

そのためには、自分の情熱だけに思いを向けるのではなく、何よりも相手に気持ちよく過ごしてもらうことを考えなくてはなりません。
相手の性格や心の状態、理解のレベルなどをよく見極めて、100のことを言いたくても60に減らしてみる。
ときには、20か10くらいにまで減らすことだって必要です。
結局、100をぶつけたって相手は飲み込めないばかりか、むしろ抵抗感だけが出てくることがあります。

人と関わるときには、まずは相手が気持ち良く飲み込めるレベルにまで温度を下げて、関わっていくことが望ましいように思います。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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