コラム

 公開日: 2014-01-23 

いかにして拒食症の治療をスタートするか?⑤

拒食症の治療をスタートするにあたって大事なことは、病気の自己が巻き込もうとするわなにひきこまれず、本当の自己の目覚めに向けて病気を治す治療関係に導くことです。
そのために治療者がやらなければならないことは
『その病気の自己が仕掛けてくるわなを見抜く』
ことです。

仏教におけるお釈迦様の菩提樹下の悟り、キリスト教におけるエクソシスト…。
こうした話の中にありましたが、悪魔というものはその存在を見抜かれると人間を支配できなくなってしまうようです。
悪魔という存在を見抜いて「お前なんかに負けないぞ」という信念を持つと、悪魔は去っていきます。

病気の自己もそうしたものと同じようなものです。
その行動パターンを見抜くと、自らを欺(あざむ)き、治療者を欺くような行動ができなくなります。
よって、
『病気の自己が仕掛けてくる一つひとつのわなを見抜き、防衛線を張る』
ことをしなくてはなりません。

何度も言いますが、拒食症の治療をスタートするための準備をせずに食事をどれだけ食べるといった治療の話から始めても、治療の途中で必ずこの病気の自己のわなにつかまってしまいます。
そして、治療が行き詰まったり、一見順調に見えてもふとしたことから症状が再燃したりするのです。
ですから、この防衛線を張るということは遠回りのように見えて、治療を軌道に乗せるために非常に重要なことなのです。

拒食症の人に対して防衛線を張るための提案を始めると、みんな「えっ?」という対応をされます。
それはきっと「『食べなさい』とかそうした話をされるだろうな」と思って診察に来られているので、話の内容が意外なのです。
また、その防衛線を張るための提案が本人たちにとって「本当にその通りだ」「ばれてしまっているな」という内容だからです。
この「えっ?」という軽い衝撃、「ばれている」という感覚を持つと、一時的に病気の自己によるマインドコントロールから離れることができます。
それによって、まずは『治る治療の流れに入ることができた』と考えることができます。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

8

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
泉和秀 いずみかずひで

誰もが持つ“ダイヤモンドの心”。その輝きを取り戻すために(1/3)

 神戸・岡本、山手幹線沿いにある「いずみハートクリニック」。明るい表通りに面したこのクリニックを昨年(2008年)4月に開業したのが同院長・泉和秀さんです。 自然光がふんだんに射し込む受付・待合室から診察室まで、全室にわたり院内だという...

泉和秀プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

会社名 : いずみハートクリニック
住所 : 兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL : 078-453-8010

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

078-453-8010

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

泉和秀(いずみかずひで)

いずみハートクリニック

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
自分の時給を決める

小平つかささんの「やりたいことだけして生きていく」という本にこんなことが書かれていました。「あなたは、自...

医療における奇跡

医療の世界に奇跡があるかという話になると、大部分の医者は否定するような気がします。ただ現実には奇跡のよう...

自分のことは自分が一番わかっている!?

「自分のことは自分が一番わかっている」これまでの人生で、人がそんなふうに話すのをよく聞いてきました。そ...

「最近、多いよね」

「最近、良くなって治療が終わる人が多いよね」受付の子とそんな話をしています。一般的に医者、特に心の医...

「疲れた」

夕方になると思わず「疲れた」という言葉が出てしまいます。理想は、いつも元気でエネルギーに満ち溢れている姿...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ