コラム

 公開日: 2013-08-17 

相手に入れ込んで話すことの功罪

今日は、ぐったり疲れてしまいました。

私の場合、こんなふうに自分の限界を超えたような疲れを感じるときはいつも同じ理由です。
それは「患者様に入れ込んで話をしたとき」です。

患者様に入れ込んで話してしまうのは、患者様自身があきらめかかっているとき。
強度のマイナス思考にとらわれて、その方に全く光が見えないとき。
そんなときに、何とかして差し上げたいという思いがこみ上げてきて、入れ込んでしまうことがあるのです。

きっと多くの医者はそこまでされないと思います。
ゆっくりと見守る形をとられるだろうと思います。

では、私のように相手に入れ込んで話すことは意味があるのでしょうか?
ときには、意味があるのではないかなと思っています。
相手の方があきらめかかっていても、熱意をもって語りかける姿勢が相手の心を動かすことがあります。
そうした姿勢が限界を打ち破ることもあります。

しかし、相手の方にとって余計なお節介であったり、ありがた迷惑であったりすることもあると思います。
誰でも暗い世界にいたくはありませんが、心が暗い状態にあるときには暗い世界にも妙な安心感があるのです。
それを無理に明るい世界にひきずりだそうとされると、非常にうっとうしく感じます。

相手に入れ込んで話すというのは、患者様思いでいいように思います。
しかし、気を付けないと、相手を思う心の中に自我我欲の心が入り込んできます。
すなわち、相手のためと言いながら、自我我欲で”親切の押売り“をしているだけという状態にすり替わることがあるのです。

冷静に見ると、これは本当によくあります。
純粋に相手を思う気持ちだけであればそこに無理はないのですが、自我我欲の心が入ってくると無理をしてしまいます。
その無理が大きな疲労となるのです。

患者様と向き合うことは日々、修行ですね。
“自我我欲を抑えながら、いかに純粋に患者様のことを思ってかかわることができるか”という修行です。

ぐったりと疲労すると「今日も自我我欲があったのかな?」と思い返し、「まだまだだな」と思います。
その一方で、「今日もとても喜んで帰って下さった方がいたのだから、いいところもあったよ」と自分に言い聞かせ、心のバランスをとる毎日です。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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