コラム

 公開日: 2009-09-19  最終更新日: 2014-08-01

“スペルバインダーSpellbinder”を目指して


“スペルバインダーSpellbinder”とは、「ことばの魔術師からの贈り物」(オグ・マンディーノ著、KKベストセラーズ)という物語の中で語られている言葉です。
この物語の主役のひとりであるパトリック・ダンはアメリカきっての講演家で、まさに“スペルバインダーSpellbinder”、すなわち、言葉で人々を虜(とりこ)する人なのです。

しかし、“スペルバインダーSpellbinder”の真の姿は、単に人々を虜(とりこ)にすることが目的ではありません。
人々の心を癒し、希望を与え、幸せへの道筋を示すことがその使命です。

私もそんな“スペルバインダーSpellbinder”になりたいと思いながら、現実はいつもドキドキです。
一昨日も滋賀県にある豊郷病院に招いていただいて講演を行ったのですが、いつもその講演が始まるまでがドキドキなのです。

早い時期から準備をしなくてはと思いながら、いつも始めるのは早くても一週間前、ひどいと前日か、当日の朝。
気持ちが集中できて、インスピレーションが降りてひらめくような心境にならないとなかなかまとめることができないのです。

講演の準備をするときに考えることは、まず聴衆のことです。
今日はどんな方が来られるだろうか?
その方たちのニーズはどんなところにあるのだろうか?
どんなお話をすると何かお役に立てるだろうか?

「立派な話でもしてやろう」なんて思うと、そのプレッシャーに押しつぶされてしまいます。
たったひとりでもいい。
何か心に残った、役に立ったと思っていただけるようなお話をしよう。
そんなふうに思って準備を始めます。

まず目次を立てて、ポイントを3つ程度に絞り込みます。
小学生の高学年~中学生くらいの子どもが聞いてもわかるようなお話をしようと考えます。
難しい話なんてしません。
本当に深く理解している人は、わかりやすい話ができるものです。
わかりやすい言葉で語り、人々の心に伝わらなければ意味がありません。

医師が行う講演はしばしば難しくてよくわかりません。
何かいいことを言われているような気がするけれども、心に何も残らない。

私はそれではダメかなあと思います。
自分の言いたいことを一方的に伝えるのではなく、人々の求めているものに思いを馳せて伝わるお話をしないといけないと思います。

平野秀典さんという方が、その著書である「儲けを生み出す表現力の魔法」(かんき出版)の中で「伝わらなければ、どんないい演技も、それは相手にとって存在しない」と言っています。
    「伝わらなければ、どんなにいい内容のお話であっても、それは聞く人にとって存在しない」
ただ「伝える」のではなく、相手に「伝わる」お話を。
それが大事だと思います。

伝わるお話をするには、いくつかポイントを押さえなくてはいけません。
それは知性、理性、感性、悟性といった人間の持つあらゆる感覚に訴えることです。

話をするならば具体性、現実性のあるわかりやすい話をして知性に訴えかける。
その話から得た教訓を今日からでも実践できるような具体性のあるお話は、人々の心を惹きつけます。

また感性に訴えかけるようなエピソードを入れてみます。
すると、聞く人は思わずその話に惹きこまれます。
「そうそう!私にもよくある」
「ああ、そうかあ、なるほどなあ」
「すごいなあ、そんなこともあるんだ」

さらに、私は人々の悟性にも訴えかけたいと思っています。
人々の心の奥にあるダイヤモンドの心を信じて、その可能性にかけて語りかける。
そのとき、人々の心に光が灯ります。
「とても心が癒された」
「明日から頑張っていこうと思う」
「もう一度、人のダイヤモンドの心を信じてやってみようと思う」
そんなメッセージが寄せられます。

私は昔、人と目を合わせることさえできない人間でした。
「人前で話すくらいなら、10個の試験を受ける方がましだ」とよく言っていました。
けれど、今は人前で話すことは、心療内科医が天職であると思っていると同じくらいに天職だと思っています。
多くの人々の心に光をともす。
そんな講演をできる人間になるために、これからも自分を見つめていきたいと思います。

                              泉 和秀

この記事を書いたプロ

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精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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