コラム

 公開日: 2009-08-14  最終更新日: 2009-08-15

イメージの力-「ダイヤモンドの心を見つめる医療①」-


スポーツの世界、あるいは成功哲学の世界では、しばしばイメージの力を利用することの重要性が説かれています。

私は学生時代、テニスをしていましたが、実力が拮抗しているか、もしくはやや格上での相手と試合する場合、その勝負の行方はイメージの力にかかっていたように思います。
何度も何度も相手との試合を頭の中にシュミレーションし、ありありと自分が勝利する姿をイメージ出来たなら、その試合はほぼ100%勝利していました。
相手よりも自分のイメージする力が勝っていたならば、試合前に既に勝負は決していたと思われるのです。

近頃は本屋に行くと、どこの店頭にも成功哲学のビジネス書が積み上げられています。
その殆どの本に、このイメージの力が説かれています。
夢を抱き、それがありありと実現する光景を思い浮かべることが出来るようになれば、思いは実現する、夢を引き寄せることが出来ると言います。
実際にそうして自分の夢を叶えたという人はたくさんいます。

しかし、こうしたイメージの力を“心の医療”に使って病気が治ったという話は私の知る限り聞いたことがありません。
目で見て確認するという科学的根拠を実証することが出来ないので、医学の世界においてはおそらく誰も試みようとはしなかったのだと思います。
例え試みたとしても、科学者としての医者として、語ることはなかったのでしょう。

ただ現実には、今の医学ではどうにもならないように見える心の病の人はたくさんいます。
10年ほど昔のことです。
拒食症の問題と性格的な問題を抱えたある20才過ぎの女性がいました。
その女性はあまりにも痩せ過ぎたためにいつ命を失うかもしれないという危険がありました。
にもかかわらず自殺行為とも言えるような過度の運動に没頭し、それを制止しようとすると叫んだり、暴れたり、ときには走っている車から飛び降りようとしたりして、ついには両親もやむなく縄で縛るほどの手のつけられない女性でした。
その治療に対しては医師も看護師もがお手上げといったところで、おそらく誰もその女性が良くなる姿など考えられなかったのではないかと思います。

考えられるありとあらゆる治療方法を試みた後、私が密かに行ったのはこのイメージの力を利用することでした。
彼女が元気になって幸せそうにしている姿を思い浮かべてみよう。
けれども、現実の彼女を目の当たりにしていると思い浮かべることが出来ません。
このとき、イメージするにはその可能性を信じる心が必要なのだと思いました。
何度、元気になって幸せそうな姿を思い浮かべようとしても消えてしまう。
そんな自分の心に打ち勝とうと「絶対に良くなるところをイメージして、彼女には幸せになってもらう」と思い、イメージを心がけました。

何日かしたある日、彼女が元気になり、照れくさそうに微笑みを浮かべながら会いに来てくれる姿をイメージすることが出来ました。
すると不思議なことに、その直後にそれまで自分の問題を周りのせいにばかりしていた彼女の心に自らを反省する心が芽生えたのです。
彼女の心のベクトルが変わったのです。

以後、その彼女が完全に良くなるまでには数年かかりましたが、その変化を機に光が見えるようになりました。
あれほどの問題を引き起こしていた彼女は、「一体あれは何だったのだろうか」と思うほどに落ち着き、今は結婚して母親になっています。

“心の医療”にイメージの力を使う。
それが科学的かどうか、科学的な証明が出来るかどうか、それは患者さんの心を救うという目的においては大きな問題ではありません。
実際にイメージの力は、いろいろな分野の優れた人たちが結果として証明しています。
その力を“心の医療”に使うことは意味のあることだと思います。
例え、その効果を十分に得ることが出来なかったとしても、患者である自分の可能性を信じ、良くなる姿をイメージして関わってくれる医療者がいれば、どれほどの心の支えになることでしょう。

“心の医療”にイメージの力を使うには、その人にダイヤモンドの心があることを信じる人間観が必要です。
そして、その可能性に賭ける思いが大切なのではないかと思います。

                               泉 和秀

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