コラム

 公開日: 2011-08-03 

誰かに愛してほしいとき

この世界は愛がほしい人でいっぱいです。
自分のことをわかってほしい、認めてほしい、見てほしい、かまってほしい…。
いろいろな形で、愛がほしいという思いがあります。

愛がほしいというのは、人としての自然な感情です。

ただそれが行き過ぎると、病的な心の状態を生み出すようになります。
ブラックホールのような心の状態になって、周りの人がいくら愛を与えても何ももらっていないかのような気持ちになります。
不安、不平不満、愚痴、怒りといった感情に満たされ、誰も手がつけられなくなります。

そんな心の状態から脱するために必要な最初の処方箋は「あきらめる」ということです。
愛がほしいというのは自然な感情だけれども、いくら「ほしい、ほしい」と言っても、自分の心がブラックホールのような状態では満たされることはありません。
一旦、愛をもらおうとすることをあきらめ、あきらめることによって、ブラックホールの心に蓋(ふた)をするのです。
すると不思議なことに、愛をもらうことはあきらめたはずなのに、周りの愛を自然と感じることができるようになってきます。
愛を感じるとは、
    「周りの人の与える愛×自分の愛を感じる感受性」
によってもたらされるものです。
ですから、蓋をすることによって感受性を高めると、愛を感じることができるようになってきます。

2番目の処方箋は、愛の循環について考えることです。
自分が愛をもらうということは、誰かが愛を与えてくれるということです。
    「与える人があって与えられる」
そして、愛には
    「愛を与える人ほど、愛を与えられる」
という法則があります。

よって、逆説的なのですが、愛がほしいときほど愛を与えることです。
それも見返りを求めず、ただひたすらに自分のできる愛を与えることです。
これは井戸の呼び水にも似ています。
水がほしくて井戸から水を汲み上げるだけでは井戸は枯れてしまいます。
そんなとき、井戸の中に呼び水という水を入れるのです。
すると、再び井戸の中に水が湧きあがってきて、水を汲むことができるようになります。

同じように自分の周りに愛がなくなったときには、呼び水となる愛を与えることです。
愛を与えることに集中していると、井戸水が湧きあがってくるように、いつの間にか自分に愛が与えられる状態になっていることに気がつきます。

私も20代頃まではいつも愛がほしいと思う一方で、愛に満たされず、孤独を感じていました。
孤独の中でひたすらに落ち込んだり、イライラしたり、荒れたりしながら、どこにも持っていきようのない気持ちに悩みました。

あるとき、先に述べたような「与える愛こそが大切だ」ということを本で読んだとき、
    「愛が足りなくて苦しんでいるのに、一体、どこに与える愛があるんだ?
    そんなことよりも誰か何か自分に愛を与えてほしい」
そう思っていました。
しかし、いくらそうしたことを考え続けても苦しみが和らぐことなく、脱することはできませんでした。

とりあえず、
    「よくわからないけれど、自分のできるわずかの愛でも与えていこう」
と努力を始めました。
笑顔でいること、悩んでいる人がいれば話を聞いてあげて自分のできる精一杯の助言をすること、人には少しでも親切にすること…。
いつの間にか自分の周りには自分を大切に思ってくれる人たちがいっぱいになって、たくさんの愛をもらう自分になっていました。

今でも落ち込んでどうしようもないとき、
    「生きている限り、たったひとりの人にでもいいから、自分のできる愛を与えていこう」
という原点に戻ります。
すると、いつの間にかまた元気な自分に戻っていることがあります。

みんな誰かに愛してほしいのです。
ただそうした気持ちが満たされないときには、ある意味、それ以上、人に愛を求めるのをあきらめ、考えないようにすることです。
代わりに、呼び水となる愛を人に与えることです。
そのとき、周りからも愛が与えられ、自らもその愛を感じることができるようになり、愛に満たされた人生が近づいてくるように思います。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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