コラム

 公開日: 2011-07-13 

心のステージについて

人にはみんなそれぞれに心のステージがあります。
心のステージは、成長とともに上がります。
成人してからは、「本当の自分」に目覚めるにつれて、ステージが上がります。
それは仏教用語では『悟り』と言ってもいいかもしれません。

人はいろいろな人と付き合いながら生活をしています。
そんな中で自分が心から付き合える人というのは、心のステージが同じレベルにある人です。

例えば、小学生や中学生のときにとても親しかった友達と10年後、20年後に再会したとき、昔話に花は咲いても、お互いの現在の話になると昔のように話が噛み合わないことがあります。
それは久々に会ったからだと思うかもしれません。
しかし、本当はお互いの心の成長に差ができて、心のステージが違ってしまったからです。
だから、噛み合わなくなったのです。

久々に会っても、ともにのんびりとした同じような人生を生きてきたなら、また話が合うことがあります。
あるいは、ともに何か目標に向かって成長し続けているなら意気投合することがあります。
それは昔だけではなく、現在においても心のステージが同じレベルにあるからです。

私自身の経験でこんなことがあります。
15年くらい前、人前で講演などをして、医療者のリーダーを担っている先生(医者)がいました。
その先生を見ていて、
    「すごいなあ。
    いつかこの先生と話ができるようになるといいなあ。
    そして、いつのことかわからないけれど、自分もこんな先生になれるといいなあ」
と思っていました。

それからほどなくして、その先生と話ができるようになりました。
最初はそれだけでドキドキ、わくわくしていました。
それがいつの間にか一緒にいろいろな仕事をさせてもらえるようになり、あるときから、私にリーダーの役割が与えられるようになりました。
さらにしばらくして、今度はその先生から相談を受けるようになり、私から助言などをするようになりました。

これはとても不思議な体験でした。
最初は憧れていた先生と、いつの間にか対等にお付き合いさせてもらうようになり、そのうちに自分が頼られるようになる。
私はこの先生と関わらせてもらう中で、大きく成長したように思います。
その先生の優れているところを観察し、学び、勇気を持って新たな実践に取り組み、いつの間にかそれが当たり前の自分になっていました。
以前とは全く違う自分に成長していたのです。

今はその先生と少し距離があります。
それはステージがずれてきたからのような気がします。
その先生は今もとてもいい先生です。
ただある意味、いつも同じステージにいます。
私自身はその先生のステージに上がらせてもらい、そこで多くのことを学ばせてもらいました。
そして、今はそのステージを終え、次のステージに入ったような気がしています。
そのことで自ずと距離ができてきました。

久々に会っても、とても意気投合する先生もいます。
それは人のために情熱を持って働き、成長し続けている先生です。
そうした先生とは、昔話も面白いのですが、何よりも今現在の話をするのがとても面白く感じます。
「この先生はいつの間にかそこまで頑張っているのか。さすがだなあ」と思うと、自分もそれに釣り合ったレベルにならなくてはと情熱に灯がともります。
お互いにステージを上げ続けることで、深く付き合うことができるのだと思います。

人は心のステージが同じレベルにあるときには、深く付き合うことができます。
けれども、それぞれの成長にずれが出てきたときに距離ができるのは自然なことであり、已(や)むをえないことではないかと思います。
それを無理して付き合うと、お互いに違和感が出てきてしんどくなります。
だから、無理をして距離を縮めて付き合おうとせず、自然な距離に保つのがいいと思います。

ただ最後に、ひとつ付け加えて話しておきたいことがあります。
心のステージが全く同じレベルになくても、深く付き合うことができる場合があるということです。
それは一方の人はあるレベルのステージにいて、もう一方の人はまだそのステージには達していない。
けれども、その達していない人の心の奥には理想を描く力があり、その理想はまさにもう一方のステージの人と同じものである場合、現実的にはかなりの差があっても、心の奥で共感するものを感じ合うことができます。
その場合おそらく、高いステージにある人は、まだそのステージに立っていない人のメンター(優れた心の指導者)となり、その人を導くことになるでしょう。
そんなことがあります。

人生の中で付き合っていく人が変わっていく場合、あるいは、本当は変わっていきたいのに無理をして付き合っている場合、人には心のステージがあることを知ることです。
そして、心のステージにあった無理のない人間関係を築くことだと思います。
それが自分自身を生かし、また、相手を生かしていく道だと思います。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

5
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
泉和秀 いずみかずひで

誰もが持つ“ダイヤモンドの心”。その輝きを取り戻すために(1/3)

 神戸・岡本、山手幹線沿いにある「いずみハートクリニック」。明るい表通りに面したこのクリニックを昨年(2008年)4月に開業したのが同院長・泉和秀さんです。 自然光がふんだんに射し込む受付・待合室から診察室まで、全室にわたり院内だという...

泉和秀プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

会社名 : いずみハートクリニック
住所 : 兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL : 078-453-8010

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

078-453-8010

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

泉和秀(いずみかずひで)

いずみハートクリニック

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
自分の時給を決める

小平つかささんの「やりたいことだけして生きていく」という本にこんなことが書かれていました。「あなたは、自...

医療における奇跡

医療の世界に奇跡があるかという話になると、大部分の医者は否定するような気がします。ただ現実には奇跡のよう...

自分のことは自分が一番わかっている!?

「自分のことは自分が一番わかっている」これまでの人生で、人がそんなふうに話すのをよく聞いてきました。そ...

「最近、多いよね」

「最近、良くなって治療が終わる人が多いよね」受付の子とそんな話をしています。一般的に医者、特に心の医...

「疲れた」

夕方になると思わず「疲れた」という言葉が出てしまいます。理想は、いつも元気でエネルギーに満ち溢れている姿...

コラム一覧を見る

人気のコラムTOP5
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ