コラム

 公開日: 2011-03-18 

自分の個性を生かした人生

いろいろと悩む人たちを見ていて思うことは、
    「人にはそれぞれの個性があり、その個性の求める世界がある」
ということです。
心の中にある『本当の自分』は、自分がどんな個性であり、何を求めているのかということを知っています。

それが成長過程の中で、親の考えであったり、世間の常識であったり、そうした自分の心の外にある価値観を教育されることで、閉じ込められることがあります。
人によっては、そうした親の考えや世間の常識が自分の個性の求めているものと一致していて、『本当の自分』の目覚めにつながることもあります。
そうでなくても、それなりに妥協して生きていくことのできる人もいます。
しかし、個性の強い人にはそれができません。
外なる価値観と内に求めるものとの“ずれ”が、しばしばその人の苦しみになります。

それは、歴史上の天才や偉人という人を見ていてもよくわかります。
個性が強い人が天才や偉人だというわけではありませんが、天才や偉人と言われる人は基本的にはすべて個性の強い人です。
例を挙げればきりがありませんが、「画家のゴッホは若い頃は次々と仕事を首になって定職に就くことができず、最後は弟に生活の面倒を見てもらいながら、画家の道を目指します。
同時代の人から見れば、どうしようもないダメ男に見えていたかもしれませんが、その後の彼の描いた絵を見ると、天才という評価は誰もが納得するところです。

最近では,イチローなどもそうです。
もともとはヒットはよく打つけれども“振り子打法”という変なバッティングフォームを変えようとしない変わった若者でした。
実際、プロ野球選手になってからも監督やコーチからは「こんな変なフォームで打つバッターは使えない」ということで2年間2軍暮らしを余儀なくされていました。
しかし、その後の驚異的な活躍は誰もが知るところです。

要するにこうした人たちは、その後の活躍によって天才、偉人と認められるようになったわけですが、最初の頃はとても変わった人間で、世間の常識からは、“どうしようもないダメな人間”と見られていた時期があったのです。
    「普通だったら、それくらいのことできて当たり前なのに、どうしてあなたはそれができないの?」
    「本当にどうしようもないね」
そんなふうに見られていたのです。
ただ彼らがすごかったのは、そうした世間の目にいろいろと悩み苦しんだだろうけれど、それでも自分の個性の求めるものを知り、その心に素直に生き抜いたことです。
それが人生の道を開いたのです。

天才や偉人を例に挙げましたが、悩んで心の相談に来られる人の中にはそうした個性の強い人がいます。
彼らは、周囲からは普通の生き方を求められ、自分自身もそのようにしなければいけないと頭では考えています。
しかし、個性そのものである心が、どうしてもついていかないのです。
そうした心の葛藤が続くと、学校に行くことができない、仕事を続けられない、結婚生活を維持することができないといった不適応を起こし、ときに心の病気にまで至ることがあります。

その人の家族や友人などはなるべくリスクの少ない安心できる生き方をしてほしいと願って、常識的な生き方を勧めます。
それはひとつの考え方ですし、誤ってはいません。
しかし、本当にリスクの少ない生き方とは何でしょうか?
それは、
    『その人の個性を生かす生き方』
です。
いくら常識的な生き方をしても、それがその人の個性にあっていなければその個性をつぶしてしまい、その人の幸せはありません。
その方がずっと大きなリスクです。

どのような人にも個性があり、個性の求める世界があります。
ときには、それがいわゆる常識から外れた生き方になることがあるかもしれません。
ただ天才や偉人の例に見られるように、そこにその人を生かす生き方が潜んでいるということがあります。

心の奥で「どうしてもこのようにしてみたい」という疼(うず)きが感じられるなら、それが心の声である可能性は高いと思います。
そのような思いを持てること、理想を持てること自体があなたの才能です。
親の考えや世間の常識は参考にしながらも、ときにはそうした考えや常識に枠を破って、その道に進むことだと思います。
それこそが健康になり、本当に幸せな人生を生きる道です。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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