コラム

 公開日: 2010-09-17 

相手を変えず、相手を変える


人間関係において、相手に気に入らないところがあったり、ここが問題ではないかと思うところがあったりするとき、それを解決するためのコツは
    『相手を変えず、相手を変える』
ことにあると思います。

“相手に対して気にいらないことがあるとき、陰で悪口を言う”
よくあることですが、こうしたことをしていると、その言っている人自身に心安らかな時間が訪れることはありません。
きっといつも不平不満の心で生きていくことになります。

“相手に対して気にいらないことがあるとき、相手にそのことを伝える。あるいは、教えてあげる“
相手との関係性が築けているときには、うまくいきます。

しかし、関係性が築けていないときには、反発されることがあります。
    「自分のことをわかってくれているわけでもないのに、自分の問題点を変えなさいと言われても、そんな気になれない」
そんな気持ちにさせることがあります。

そんなときの関わり方のコツは、相手をそのまま受け入れることです。
受け入れるというのが難しければ、あきらめることです。
    「この人はこうした生き方をして問題もあるけれど、今はそれが精一杯なんだ。
    いっぱいいっぱいのこの人に何かを変えるようにと求めるのはやめよう。
    距離をとって見守ろう。
    今は話を聞くだけにしてあげよう」
そんなふうにして、しばらく見守ってあげることです。

人は「今の自分を受け入れてくれている」と感じられるようになったときに、「その人の言うことをきいてみよう」という気持ちになります。
そのときに言葉を選び、相手の問題点を伝えるのです。

ただ実際、そうしたアプローチは診察の場面などでとても難しいことがあります。

特に初めて来て下さった方で、とても大きな心の問題を持っているけれども、今は全く人の話をきく余裕がないという状態にある場合です。
相手は、
    「どこが問題で、どうしたらいいのかを教えてほしい」
と言います。でも、その本音は、
    「今の私の苦しみを理解してくれる人はいるのか?
    理屈や説教などは聞きたくない。
    あなたにはとにかくこの気持ちを理解してほしい」
ということなのです。

ですから、こうしたときには何が問題かがわかっていても敢えてそのことは言わずに、気持ちに共感させていただきながら、「なかなか難しいですよね」といった感じで答えます。
ただそのような言葉をかけたくらいでは、相手の気持ちを満たしきれないので、限られた時間の中では、どうしても少し納得のできない形で帰っていただくしかないこともあります。
それでも頑張って来て下されば、だんだんとこちらの気持ちが伝わるのですが、1回の診察だけでは難しいことがあります。

今日、お話ししたいことは、相手を変えたいと思うなら、まずは相手を変えようとすることをあきらめることです。
できれば、相手を受け入れることです。
自分自身の中にある「相手を変えたい」という思いこそを変えるのです。
そうした時間をしばらく過ごすと、少しずつお互いの関係性が築けます。
相手との関係性ができたなら、相手が変わる時期がやってくることがあります。
そのときに、そのきっかけとなる言葉を伝えてあげるのです。
そのとき、相手は自ずと変わっていくのです。

この記事を書いたプロ

いずみハートクリニック [ホームページ]

精神科医 泉和秀

兵庫県神戸市東灘区岡本2-7-3 ピークス岡本3F [地図]
TEL:078-453-8010

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