中小企業の経営労務のプロ
コラム
公開日: 2016-06-29
役員報酬を変更する際のポイントと社会保険料
役員報酬の額は、基本的には社長が自由に決めることができます。しかし変更は増額であれ、減額であれ自由に決めることはできません。株式会社であれば株主総会で変更を決定し、株主総会議事録を保存します。
また変更できる期間は、原則として期首の3カ月以内となっています。それ以降に変更する場合は、特別な事情がない限り変更した金額に対し法人税がかかることになります。さらに大幅な増減があった場合は、社会保険料の支払いにも影響を及ぼすことになります。
今回は役員報酬の変更する際のポイントを中心にご説明します。
役員報酬変更の方法と定期同額給与
仮に、4月に事業年度が開始した場合、役員報酬を変更するには6月までに臨時の株主総会を開催し役員報酬変更の議事録を作成しなくてはなりません。
その際、実際に役員報酬が変更となるのは7月からでも法人税の対象にはなりません。7月から翌年3月までの報酬額が同額であれば、すべて損金扱いとなります。
役員報酬が、損金扱いになるための条件はいくつかあります。その中で毎月一定の時期に定額で支払われる定期同額給与というものがあります。
つまり期中に、何度も増額や減額を繰り返すということは定期同額給与とはいえなくなり、その増減分が損金不算入として法人税の対象となります。
そのため、できることであれば役員報酬の変更をする場合は、期首から3カ月以内の1回のみに済ますことが、節税の意味からも重要であるといえます。
期中に役員報酬を変更しても損金扱いとなるケース
会社を経営していく上で、どうしても期中に役員報酬を変更しなくてはならない時もあると思います。原則としては期首から3カ月以内となっていますが、以下のような場合は期中の変更であっても損金扱いになります。
・代表取締役の急逝や急な退陣によって専務取締役が、代表取締役に昇格した場合
・病気や怪我などで入院治療が必要となり、職務の一部を執行できなくなった場合
・業績の悪化により株主、取引先との関係上、役員としての経営責任を取らなくてはならない場合
上に挙げたような場合、増額、減額に関わらず期中の変更が認められ、損金扱いとなります。
役員報酬の変更によって社会保険料の支払い額が変わる場合
役員報酬を変更したことによって、社会保険料の標準報酬月額の等級が2等級以上増減する場合、日本年金機構に被保険者報酬月額変更届を提出する必要があります。
また5等級以上に下がる場合は、被保険者報酬月額変更届に加え、株主総会または取締役会の議事録と所得税源泉徴収簿、または賃金台帳の写し(固定的賃金の変動があった月の前の月から、改定月の前の月分まで)も追加で提出しなくてはなりません。
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