コラム

 公開日: 2012-11-08  最終更新日: 2014-09-12

6年生(上)の教科書『風切るつばさ』より 〜不登校について考える〜

 6年生(上)の教科書『風切るつばさ』

 
 アネハヅルのクルルはいつも体の弱いカララをかばい、えさを分けてやっていた。
 ある日、彼らの群れは狐に襲われ、一羽の幼い命が奪われる。
 その夜、幼い命を死なせてしまったやり場のない怒りや悔しさから狐に気づかれたのはクルルがカララにえさをやるために羽ばたいたからだと誰かが言い出した。
 皆もそれに同調した。
 その時からクルルは、まるで仲間殺しの犯人のようにあつかわれるようになった。
 誰一人、かれの味方はいない。カララでさえ、黙ってみんなの中に交じっている。
 皆、彼に背を向け、口を聞くものさえ誰もいない。クルルの気持ちなど誰一人分かろうとしなかったのだ。

 友達も仲間も何もかもが信じられない。
 たった一羽でいるしかなくなった、みじめな自分。
 クルルはそんな自分を責めた。
 風の中を飛ぶ、自分の翼の音すら、みっともない雑音に聞こえる。
 「どうして言い返さなかったんだ、皆とうまく出来ない自分が悔しい。自分の顔、自分の足、自分のつばさ、みんな嫌だ。」
 クルルはみんなと飛ぶのが辛くなってきた。

 ある朝、クルルは飛べなくなっていた。いつもの様に羽ばたいているのに、体が舞いあがらないのだ。
 クルルはただじっと、草原の片隅にうずくまるしかなかった。

 冬が近づいてくる。
 冬のモンゴルの草原は零下五十度の寒さにおそわれる。
 その前に、アネハヅルの群れはヒマラヤ山脈をこえてインドに渡って行くのだ。

 冬を前にして、飛べなくなったツルは死ぬしかない。
 でもクルルにはそんな事どうでもよくなっていた。
 えさを食べず、ただじっとうずくまっている事だけが、
 最後のプライドを保つ唯一の方法に思えた。

 やがてツルの群れが、南に渡っていくのが見えた。
 第二、第三の群れも渡り始める。

 白い雪がちらほらと舞い始めたときだ。
 クルルの目に、南から舞い降りてくる一羽の鳥が見えた。
 カララだ。
 カララは何も言わずにクルルの隣に降り立った。
 クルルは、もしカララが「さぁ、一緒に行こう!」と言ったら例え飛べたとしても、首を横に振るつもりだった。
 「俺なんか、いらないだろう。」とも言うつもりだった・・・。
 でも、カララは何も言わなかった。
 ただじっと隣にいて、南に渡っていく群れを一緒に見つめていた。

 日に日に寒さがましてくる。
 (こいつ、覚悟しているんだ・・・。)
 クルルの心が少しずつ解けていく気がした・・・
 (そうか!俺が飛ばないとこいつも・・・!!)と思った、その時!

 いきなりしげみからキツネが現れた!

 するどい歯が光り、カララに飛び掛る・・・!
 「あぶない!!」
 その瞬間、クルルはカララを突き飛ばす様に羽ばたいた。
 カララはそれを合図に飛び上がった!

 「あっ・・・・・・。」

 気が付くと、クルルの体も空に舞い上がっていた。
 目標を失ったキツネが、悔しそうに空を見上げている。
 「俺・・・飛んでる!!」
 クルルは思わず叫んだ。
 力いっぱい羽ばたくと、風の中を体がぐんぐんと上っていく。

 風を切るつばさの音が、ここちよいリズムで体いっぱいに響きわたった。
 「わたれるぞ!これならあのそびえ立った山を越えることが出来るぞ!」
 カララが振り向いて、
 「一緒に行ってくれるかい?」
 といった。
 「もちろんさ!」
 クルルは、少し照れて笑って見せた。

 二羽のアネハズルは、最後の群れを追いように南へ向かった。
 翼を大きく羽ばたかせどこまでもどこまでも・・・・・・

                       (おわり)


 これはまるで不登校の子どもの物語のようです。
 飛べなくなったクルルのもとにカララは降り立ちます。
 「さぁ、一緒に行こう!」と言われたなら
 たとえ飛べたとしてもクルルは行くつもりはありませんでした。
 でも、カララは何も言わず、ただそばにいるだけでした。

 クルルが行かないのなら自分も行かない。
 助けようとするのではなく、最後まで共にあろうとする。
 相手を変えようとしない。
 むしろ自分を捨てていく。
 そこには本当の信実があります。
 カララの真心があります。

 今自分がこうしてあるのはクルルのお蔭だ。
 僕はみんながクルルを無視したとき、
 助けることができなかった・・
 そんな自分のまま生きていくのか。
 そのクルルを見捨てて生きていくくらいなら
 クルルと一緒にこの地で死のう。

 カララにとってはきっと
 クルルを救うとか、そんなことではない。
 これはカララ自身の問題だ。
 自分の問題だ。
 自分がどうありたいか、どうあろうとするのか
 そういう問題だったのだ。

 不登校も子どもが学校に行くようにと
 子どもを変えようとするのではなく
 自分の問題ととらえ、
 自分はどうありたいのか、どうあろうとするのかと
 問いの矛先を自分に向きかえ
 信実を持って、真心を持って
 子どもに向き合うとき、自分自身を生きるとき
 きっと道は開けるのだと思う。



 子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
 http://www.hariat.co.jp/ksg/

 不登校でお悩みなら
 http://www.hariat.co.jp/ksg/futoukou.htm

 親も子も幸せに成長していくヒントがいっぱい!
 ブログ「長谷川満の親学講座」
 http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/

 気づきがいっぱい!子育てコラム「あなたのままで100点満点」
 http://www.koushinococoro.com/magazine/kyouiku/hasegawa_100/

 感動!心が楽になる!子育て講演については
 http://mbp-kobe.com/hasegawa/service2/

この記事を書いたプロ

家庭教師システム学院 [ホームページ]

家庭教師 長谷川満

兵庫県加古川市加古川町木村44-6 亀井ビル3階 [地図]
TEL:079-422-8028

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

2

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
著書紹介
子どもにも自分にもやさしくなれる本

 『あなたも子どもそのままでいい 〜長谷川満の親学講座〜 』¥500(税込み) いい親になろうとせず、いい子に育てようとせず、もっと自然に、もっとありのまま...

教育講演・人権講演について
イメージ

 「感動した」「心が軽くなった」「さらに子どもが愛しくなった」「子どもにやさしくなった」、そんな喜びの声が多数寄せられています。 人権についての講演会や中...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
家庭教師システム学院の長谷川満さん

自己イメージ改善で、子どもの自信とやる気を引き出す家庭教師のスペシャリスト(1/3)

 加古川市、高砂市、加古郡といった東播学区の小・中・高校生を対象に、家庭教師派遣を行う「家庭教師システム学院」。代表を務める長谷川満さんは、25年以上、家庭教師を指導するとともに、自身も家庭教師として多くの生徒と関わってきました。 「私が...

長谷川満プロに相談してみよう!

神戸新聞社 マイベストプロ

子どもの自信を回復させ学習意欲を引き出すノウハウを持っている

会社名 : 家庭教師システム学院
住所 : 兵庫県加古川市加古川町木村44-6 亀井ビル3階 [地図]
TEL : 079-422-8028

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

079-422-8028

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

長谷川満(はせがわみつる)

家庭教師システム学院

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

本当に心が軽くなりました!自然と子ども達に優しく接せられている自分に驚いています。

本日の素晴らしい講演で本当に心が軽くなりました。 先生がお...

尾上幼稚園の保護者
  • 30代/女性 
  • 参考になった数(7

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
福岡県北九州国際会議場での講演会「親学講座」 〜親としての自分を見つめ直す〜
イメージ

 昨日10月15日(日)は午前中、北九州国際会議場で講演会がありました。 テーマは「親学講座」。...

[ 講演会 ]

兵庫県加古川市立野口小学校での講演会「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」
イメージ

 10月12日(木)は午前中、加古川市立野口小学校で講演会がありました。 テーマは「自信とやる気を引き...

[ 講演会 ]

すべての学力の基本は読解力!子どもの基礎読解力を高める3つの方法。
イメージ

  すべての学力の基本は読解力です。 子どもの読解力はどのようにすれば高められるのか。 家庭で...

第46回ペアレントセミナー「子どもの問題にどう向き合えばいいか〜発達障害、不登校、・・〜」
イメージ

 昨日は第46回ペアレントセミナー「子どもの問題にどう向き合うか ~発達障害、不登校、いじめ、反抗期、進学...

[ ペアレントセミナー ]

おかげさまで30周年!家庭教師システム学院 入会金半額¥10,800円 
イメージ

 2017年12月1日で家庭教師システム学院は30周年を迎えます。  30年前はここ加古川でも学習塾や...

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ