日本酒のプロ
コラム
2010-07-30
◆蔵元ご紹介シリーズ◆ No.75 御物城(おものぐすく)

▲泡盛の醪(もろみ)。黒麹と水だけの全麹仕込み。クエン酸を豊富に
生成する黒麹菌は腐敗を防ぎ、年間の平均気温22度以上、平均湿度
70%以上ある沖縄での酒造りになくてはならない存在で、独特の風味を
生み出します。
那覇市の北東約10km、蔵のある西原町は沖縄本島南部の東海岸に位置し、
蔵元は街の北部、海にほど近い静かな環境にあります。
「御物城」の蔵元は琉球王朝時代に朝廷御用達の泡盛製造を依託された
御用酒蔵30場の流れを汲んでいます。明治の中頃に一旦閉場しましたが、
先代・石川政治郎氏が酒造場が民営化された昭和24年(1949年)に
再興しました。
平成2年(1990年)、設備を増設するため首里から現在の西原町に
移転し、伝統の甕仕込み・甕貯蔵を守り続けています。
王朝御用酒に従事した優秀な技術者30人、その流れをしっかりと今に
受け継ぐ蔵の一つです。
さて、泡盛特有の香りと味わいの秘密は黒麹菌にあります。
泡盛の仕込みは全麹、つまり黒麹と水だけ。黒麹菌はクエン酸を大量に
発生させ、その酸のおかげで雑菌を寄せつけず無事に発酵させるという
製法は、沖縄の気候の中で育まれた製法。
現在ではステンレスタンクを使用するところも多い中、蔵元では
首里時代からの甕(かめ)仕込みの伝統にこだわり、沖縄県で唯一、
全量を管理に手間のかかる一石甕での醪発酵を行っています。
さらに甕は泡盛の熟成にも適していることから、一般酒でも蒸溜直後の
2、3ヶ月は甕で貯蔵され、限定古酒はそのまま甕でじっくり熟成させます。
「御物城」ならではの優しくまろやかな風味を生み出しています。
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