コラム

 公開日: 2017-07-24  最終更新日: 2017-07-29

「墓じまい」を考える前に読んでほしい物語(4)「おはからい」/漣ほたるさん(28歳)

お墓にまつわるエピソード集「お墓物語」 

一見、同じように見えるお墓だが、実はそれぞれのお墓には、
それぞれの思いと数々のエピソードがあります。

全国の墓石を含む石材関連業者約1,300社が加盟する、
日本最大の業界団体である、(一社)日本石材産業協会では、
お墓にまつわる感動的なエピソードを集めた小冊子、
「お墓物語」を、2011年3月に発行いたしました。(非売品)


お墓にまつわるエピソード集「お墓物語」

「お墓物語」を発行するにあたり、作品を募集したところ、
全国各地から数多くの応募作品が寄せられました。


その中から33名の方の作品がこの小冊子に収められています。


涙あり、笑顔あり、驚きありの素晴らしい物語ばかりです。


マスコミ等で「墓じまい」ばかりが大きく取り上げられる昨今において、
「お墓ってこんなに素晴らしいものなんだよ」ということを、
今一度、一人でも多くの人に気づいていただければと思い、
ここに、33話、全ての物語を順にご紹介させていただきます。

これまでに、以下三つのをご紹介いたしました。

「お墓物語」作品紹介(1)「祖母との出会い」/三浦るるさん
「お墓物語」作品紹介(2)「お墓参りの不思議」/伊東徳久さん
「お墓物語」作品紹介(3)「祖父のお墓で」/水野真由美さん

今回は、大阪府在住の漣(さざなみ)ほたるさん(28歳)の作品、
「おはからい」をご紹介させていただきます。
心温まるエピソードを通じて、家族や大切な方との絆や、
命の尊さを考えていただくきっかけになればと考えております。


「おはからい」/漣ほたるさん(28歳・大阪府) 

「みーちゃんは死んだらこことは違うお墓に入るねんで」


毎年、盆と正月のお墓参りに行くたび、
祖母がいたずらっぽく言っていたのを思い出す。

幼い頃は、家族なのにどうして私だけ皆と同じお墓に入れないのか、
と寂しさを感じたものだが、28歳になった今はむしろ、
自分は別のお墓に入ることができるのだろうか不安になるくらいだ。

最近は足が弱ってしまい、
お墓まで続く急な石段を登れなくなった祖母抜きで、
母と二人でお墓参りに行くようになっていた。

墓地の受付でお手本を見ながら塔婆を書き、
お花とお線香を買い、バケツとひしゃくを借りて長い階段を上っていく。

お墓に到着したら、持参したたわしで母と墓石を軽く洗い、
お線香に火をつけ、かかんで手を合わせる。


お線香の独特の香りを感じながら目を閉じると、自然と心が落ち着く。


私にとって、この年二回の行事は、20年ほど続けているうちに、
日常生活で雑多に入り混じったいろんな感情を、
整理してくれる儀式のようなものになっていた。


お墓というのは不思議な場所だ。


もう肉体はないけれど、骨になってからも家族が一緒に居られる場所。


そして、もうこの世にいない者と、生きているその子孫たちが訪れ、
手を合わせることで心を通わせあえる場所。

そこは、普段は考えもしない脈々と受け継がれる、
命の流れを感じることができる場所のような気がした。

祖母が言っていた、「死んだら違うお墓に入るねんで」という言葉は、
「あなたもいつか自分で家族をつくり、命を継いでいくのよ」、
というメッセージにも聞こえる。


いつか祖母もいなくなる。


母も歳をとる。


その頃には私は夫や子どもと一緒にこの場所を訪れているのだろうか。


新しい家族がいるなら、夫側のお墓にもお参りすることだろう。


そして、子どもが女の子だったりすると、
墓石の前で私も彼女に言うのだろう。


「死んだらこことは違うお墓に入るねんで」


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なお、部数に限りがありますので業者の方のお申し込みはご遠慮ください。


             
            ~つづく~



次回は、倉木敬人さん(37歳・東京都)の作品をご紹介させていただきます。

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