コラム

 公開日: 2017-09-14 

作業効率を上げて介護業界の人手不足を解消しよう!神戸市東灘区介護施設Fさま片付け実例

介護業界での人手不足問題。解決は片づけにあり?


多くの介護施設では今、働き手不足が深刻な問題となっています。人手が足らないとスタッフひとりにかかる負担が大きくなり、そのせいで辞めていく人が後を絶ちません。それが更なる人手不足を招いていくという負のスパイラルは、ひどく荒れた職場環境を作っていきます。当然ですが、そんな状態で施設内を片づける余裕などないからです。

確かに片づけは、日々の業務の中で最優先にするべきものではないかもしれません。利用者のケアが本来の仕事であり、それに対しお金をいただいているのです。片づけは余裕のある時にやればいいもの。スタッフが足りていない現状でそんな余力があるはずもなく、結果、必要最低限な掃除だけで終わらせてしまうのです。

ただ、そうなってしまうのは、片づけを「職場をキレイにするための作業」だと捉えているからです。棚の上に積みあがっていたモノを少しばかり減らして見栄えを良くしたところで、忙しさに変わりはありません。だから片づけをする気が起きず、いつまでも後回しにしてしまうのです。

では、もし片づけが「仕事を効率的にするための作業」だったとしたらどうでしょう。片づけることによって業務量が減るとしたら。忙しさが軽減されるとしたら。もしかしたら、やる気が起きるかもしれません。いえ、それ以前に忙しさから抜け出すために、そして人手不足を解消するために、片づけをやるべきだと気づくでしょう。

結論から言いますと、片づけることで忙しさを解消することはできます。もちろん、施設によって効果の程度に差は出てきますが、今までそれを全くしてこなかった施設であれば、問題点はいくつも見つかるはずです。そこを片づけによって改善できれば、確実に作業効率を上げることができるのです。

それでは、問題点はどのように見つけ、どのように改善していけばいいのでしょうか。

ポイントはいくつかありますが、要はスタッフの動きのムダを見つけそれをひとつひとつ解決していけば、効率を上げることができます。ここでは、デイサービス施設の実際の片づけ作業を例に、改善点について考えてみましょう。

介護施設環境改善 スタッフの動線①


この施設では、入り口から入ってすぐの場所に利用者のテーブルがあり(オレンジ色部分)、その奥にスタッフの詰め所(水色部分)や台所(ピンク色部分)などのバックヤードがあります。スタッフは、日々利用者のフロアとバックヤードを行ったり来たりしながら業務をこなします。



本来であればまっすぐ進むべきところ、フロアの真ん中に大きなテーブルが置かれているために、左右どちらかに迂回しなければ奥に進めない状態となっていました。一見すると、大したロスには見えませんが、毎日何人ものスタッフがここを行き来することを考えると、そのことで大きなムダが発生していると言えるでしょう。

実はこのテーブルは、4人掛けのテーブル2つをくっつけ、あえて1つの大きなテーブルとして使用していました。そこで、テーブルを離して配置しストレートに進める道を確保します。



これはきわめて単純で些細な改善ですが、それによってできたまっすぐな動線は、迂回することで発生していた歩数のムダ、時間のムダを大きく省く結果となっています。


介護施設環境改善 スタッフの動線②



また、キッチンにも動線上大きなムダが発生しています。

狭いスペースに大きな長テーブルが3台配置されているため、スタッフがすれ違えないほど通路が狭くなっていました。





すれ違えないとなれば、ひとりが通り過ぎるのをもうひとりが待たなければいけません。作業の動きが制限され、大きな時間のロスが発生していると言えるでしょう。

これほど大きなテーブルを置くのには理由があります。利用者に出す昼食を用意するのに、トレーを並べて配膳する場所が必要だったのです。

そこで、テーブルの代わりに棚を使うことにしました。





棚を利用すれば、空間を縦に使うことができるので、必要なスペースをかなりコンパクトにすることができます。また、この棚にはキャスターがついているため、使用時以外は端に移動させておくことが可能です。キッチンはより広くなり、スタッフの動きもスムーズになりました。





これらふたつの例は、動線のムダを省く方法が分からないというよりも、そもそも「動線のムダに気づいていない」ところに問題があります。ですから、まずはムダを洗い出していくことが必要です。当たり前と思っている日常の行動を、たまに疑いの目でもって点検してみるといいでしょう。

介護施設環境改善 棚の配置



次の問題点は、棚の配置です。この施設では、利用者のいるフロアのいたるところに棚が点在していました。





こうなると、スタッフは方々の棚から使うモノを取り出す必要が出てくるばかりか、どこにあるのかがはっきりせず探し回る可能性も大きくなります。また、棚の付近に利用者が座っていた場合、モノが取りづらかったり、一旦移動してもらう必要が出てきたり。作業効率は相当悪くなります。

そこで、棚を1か所に集約して、独立した収納エリアを作ります。





こうしておけば、必要なモノを全て同じ場所で揃えることができます。もちろん、利用者の間をかいくぐってモノを取り出す必要もありません。棚が点在していた時と比べ、動線は飛躍的に短くなります。




介護施設環境改善 スタッフの視界


また介護施設では安全上、ひとりでも利用者のいる場所には見守りを常駐させる必要があります。とはいえ、ただでさえ人手不足の職場で、ただジッと見ているスタッフを配置する余裕などありません。事務仕事や雑務をこなしながら、同時に見守りを兼任してもらいます。



この施設では、スタッフの詰め所(水色部分)の右側に壁があるために視界が遮られ、利用者が寝ているベッド数台が見えない状態となっています(グレー部分が見渡せる範囲)。そこをカバーするために、事務仕事をするスタッフとは別に見守りを立てなければいけないという、大きなムダが発生していました。

そこで、詰め所を全てが見渡せる場所に移動させます。





これにより、スタッフ全員が見守りながら同時に他の仕事もすることができます。スタッフひとりの仕事が見守りのみで終わるのか、同時に他の仕事もこなせるのかという違いは、労働力の違いを意味します。つまり環境を整えることで、ムダを省くだけでなく、労働力を増やすことまで可能だということになります。ですから、忙しい職場こそ片づけから始めないといけないのです。来るか来ないか分からない新メンバーをただひたすら待つのではなく、できるところから改善をして、できるだけ負荷がかからない労働環境を整えておく必要があるということです。

片づけは、見た目をキレイに整えることではなく、職場の土台作りが目的です。
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