コラム

2015-11-28

収納が使いやすさのじゃまをする?キッチン&パントリー実例

多すぎる収納が暮らしにくさの原因になる?


辞書によると、収納とは「中に入れてしまっておくこと」。辞書にそう書かれている以上、その意味に間違いはありません。定義にのっとり、中に収めしまっておくことを目的に収納を考えると、限られたスペースをフルに活かして、なるべく多くのモノを収納しようと励むことになります。

多くのモノを収めたいというその思いが、ときには収納だけでなく家全体にも表れます。
空いている壁面にはもったいないと棚を置き、上の空間にも収納スペースを増設。収納スペースを手に入れるためなら、棚の上に棚を載せるという荒ワザもいといません。今あるスペースをできる限り収納に充てることが、部屋を使いやすくする秘訣と考えているからです。



もちろん、それは間違いではありません。モノの量に対して収納スペースが足りなければ、モノを減らすか収納スペースを増やすか、そのどちらかしか解決の道はないでしょう。

ただ残念ながら、収納スペースを増やすことが、暮らしにくさの原因になる場合があるというのも事実なのです。

この場合、必要なのは収納ではなく作業スペースでした


これは、片づけサポートサービスで伺った、神戸市のとあるお宅のパントリーのビフォー画像。



なるべくたくさんのモノを収納したいと考えているので、窓を除いた壁という壁を収納ケースで埋めていました。二つの窓の間にそびえ立つ棚は、もはや引き出しの中が覗き込めない高さ。左には大きすぎる棚があるため、入り口ドアは半分しか開きません。それでも、収納量を増やすことが最優先事項なので、多少の不便には目をつむっていました。

ところがこのパントリーには、使いやすくするために必要なあるモノが欠けており、そのために起きる不便さは半開きドアの比ではなかったのです。その「欠けている必要なモノ」とは、実は作業をする場所。作業スペースがないため、大変効率の悪いパントリーになっていました。

足りなかった作業スペースを設けたアフター画像がこちらです。



窓の下に台を設置し、高く積み上げられていた収納ケースを三つに分けて入れ込みました。ここは、買ってきたモノを一旦置くための作業スペース。そのため、それ以外の時は何も置かない状態をキープしておかなければいけません。依頼主にもその趣旨を伝え理解をしてもらいました。

収納の目的は「使いやすくすること」


一見もったいなくも見える、何も置けない作業台ですが、どうして必要なのでしょうか。それはパントリーを持つ意味と、それにまつわる行動を考えてみると分かります。

パントリーとは、食材などを一時保管しておくための場所。そのため、ここでは買ってきたものを仕分けし、所定の場所に振り分ける作業が必要となります。その時、その作業をするスペースがなければどうなるでしょうか。おそらく足元に買い物袋を置き、いちいち腰をかがめて取り出してはしまう作業を反復ことになります。あるいは、隣のキッチンに置き、少しずつ手にしてはキッチンとパントリーを行ったり来たり。いずれの動作も、身体に対する負荷と非効率が生じているのですが、できない作業ではないため、そのことに疑問を持たなければ、ずっと繰り返していたかもしれません。

今度は、そこに作業台があればどうなるでしょうか。食材をしまう時、買ってきたモノを袋のまま置きやすい高さの台に一旦載せ、腰をかがめることなく袋から取り出し、所定の場所にしまうことが可能になります。一見些細なことのようですが、日々繰り返される作業に対して改善がされるため、パントリーでの作業効率を大きくアップさせるのです。

このように、作業スペースを確保するというのは、作業をする上で必要不可欠なモノなのですが、確保できていないことはよくあります。例えば、暖かい飲み物を作る場所。ティーバッグやスティックコーヒー、カップや湯沸かし器など、それを作るのに必要なモノを一堂に集めて収納しておきながら、肝心の作業スペースがなく、取り出したものをわざわざ別の場所に運んでから作っているケースがあります。それでは、せっかくグルーピングしても意味をなしません。作るための作業スペースが一緒にあってこそ、グルーピングが活きてくるのです。

では、このありがちな間違いは、どうして起こるのでしょうか。

それは、収納を考えるときに、しまうことで頭がいっぱいになってしまうから。つまり、収納の目的を「モノを収納するため」と捉えてしまっているからなのです。

どういうことか。少し遡って、モノを持つ理由から考えてみましょう。

モノを持つ意味、それは使うためにあると考えるのが普通です。パントリーにあるモノであれば、それは料理で使うために保管しているのです。使うためである以上、見つけやすかったり、取り出しやすかったり、運びやすかったりする必要があります。

ところが、収納するために収納を考えてしまうとどうなるか。なるべくたくさんのモノを入れる、限られたスペースを余すことなく収納に充てることを目指します。辞書に載っている収納の定義通りの使い方になってしまうのです。その目的のもとでは、モノを使いやすくするより、モノを多く収納するためにスペースを確保するほうが正しいということになるので、当然作業スペースを作るという発想にはつながらないのです。

ですが、モノは使うためにあるという、本来の目的を滞りなくやり遂げるよう、使う人をサポートをするのが収納の役割です。その視点で収納を考えた場合、その収納の目的は、「収納されたモノを使いやすくする」ために作られるべきなのです。

目指すのは、使う人をサポートする収納


その考え方は、家の他の場所にも当てはまります。

例えば、キッチンは料理を作る場所。モノも収納も、作る人をサポートする存在でなければならず、作業のじゃまをするのであれば改良が必要です。



これは、上記パントリーと同じお宅のキッチンビフォー写真ですが、作業台にモノがたくさん置かれ、作業スペースを侵食しています。他の収納が満杯のためここに置かれているのか、ここに置いていると使い勝手がいいからなのか、はたまたその両方なのか、理由はいろいろとあると思いますが、キッチンは、それ自体が作業場ともいえる場所。そのため、作業スペース確保はプライオリティが高く、それが極端に少ないキッチンは使いにくくなります。収納を別に移してでも、作業スペースは確保しなければいけません。

そのキッチンも、アフター画像はこの通り。



しっかり作業スペースが確保されています。この状態にしてこそ、料理に対する意欲や楽しむ心が生まれ、気持ちに余裕ができるでしょう。


家の中の収納には、使うモノが収まっています。使う人がいる以上、使う人が使いやすくなるように収納を考えなければいけません。収納が作業を妨げることがないように、使いやすく作りましょう。

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