コラム

2015-11-20

「いつか使うかもの〈いつか〉は絶対来ない」という発言の落とし穴

「いつか使うかもの〈いつか〉は絶対来ない」というのは本当か


巷で売られている片づけ本や収納本。
多くの書籍にあるのが、「いつか使うかもと取っておいても、その〈いつか〉は絶対に来ません。だから手放しましょう」という文言です。



絶対と言い切る強い口調に、そこまで言うならそうなのかもしれないと心がざわつき、そう言われてみれば引き出しの奥深くに全く使われないまま眠っているモノがあったと思い出し、これ以上取っておいても使うことはないのかと処分を決意。
あるいは、使わないかもしれないけれど処分はできない、だから私は片づけられないのだと、自己嫌悪とともに家を整えることを断念。
処分するしないにかかわらず、あまりによく聞くその発言が、大きく影響していることは確かなようです。



しかし、「いつか使うかもの〈いつか〉は絶対来ない」というのは本当でしょうか。
実は、所有者の行動や考え方が、〈いつか〉の到来を遠ざけているだけかも知れません。

取っておいたモノが使われない、その理由


まず、どうして取っておいたモノが使われないまま溜まっていくのか。
その原因から考えていきましょう。

考えられる理由は二つあります。

一つ目の理由は、適当にしまい込んでいるから。

いつか使うかもの〈いつか〉というのは、要は使う時がはっきり分からないということです。
ですからその〈いつか〉は、突然やって来る可能性が高いでしょう。
その時に、それを持っていることを思い出し、すぐに出せるようにしておかなければ、活かすことができません。
ところが大抵の場合、持っているはずのモノがどこにあるのか見当もつかない、あるいは持っていることをすっかり忘れてしまっているということになり、そのため絶好のタイミングをみすみす逃してしまうのです。
言うまでもなく、見つけられなかったり思い出せなかったりするのは、適当にしまい込んでしまっているのが原因です。
それによって起きるマイナスは、せっかく持っていたそのモノを活かすことができなかっただけでなく、結果、持っていたにもかかわらずまた同じモノを買ってしまうという、お金の無駄遣いまで引き起こしてしまいます。

そして、二つ目の理由。
それは、活かそうと考えていないからです。

いつか使うかもというのは、そのモノをいつか活かすために残しておく行為です。
ところが、「何に活かすか」という目的を曖昧にしたまま保存する、あるいは、目的を決めているにもかかわらず行動と結びつかせないまま保存するという場合があります。
つまり、「使うかも」と言っておきながら、実は使うことをあまり考えておらず、しまい込むことで行為を完結させてしまっているのです。



ひとつ、実例をご紹介しましょう。
以前片づけに伺ったお宅で、缶ビールの空き箱いっぱいに詰められたポケットティッシュが4~5箱出てきたことがありました。
それは、数十年前に倒産した大手証券会社の無料ティッシュ。
それが何十年もの間使われずに置かれていたということは、見事にジャストサイズだった空き箱にポケットティッシュをピッタリ収めたことで満足し、その行動をそこで完結させていたということ。
それではティッシュを持っている目的が、活かすことではなく収めることになってしまいます。
いつか使おうと取っておきながら、実は使おうとは考えていなかった、あるいは、思っていたとしても、その思いと行動が一致していなかったということになります。



モノを活かすために必要なのは「保管」です


では、どうしたら持っていたそのモノが活かせるようになるのか。
それは、保存と管理をしっかりとすることです。
つまり「保管」です。

まずは、いつか使うかもというモノが出てきた時に、すぐに保存に走ることなく一度立ち止まり、そして考えましょう。
そのモノの活かせそうな場面を、具体的に想像してみるのです。
ここで、いくら考えても一向に活かせる状況や方法が思いつかないのであれば、それはその人にとって必要のないモノ。
その場合の〈いつか〉は本当に来る可能性が低いので、残念ながら手放すことを考えましょう。
ですが、実際に活かせそうな場面が想像できるのであれば、可能性は十分にあります。
それに沿って保管する目的を決め、そしてその目的に見合った保存場所を決め収納します。

そして更に、保存したモノが保存だけで終わってしまわないよう、活かされるように管理をしてきます。
つまり、保存ではなく保管です。

具体的にはどうしたらいいか。
先ほどのポケットティッシュを例に取って考えてみます。
図らずも、収納するのが目的になってしまっていた長年置かれていたポケットティッシュ、今度は活かすことを目的にします。
まずは本来の使い方を考え、身支度の場所にハンカチと一緒に置いておけば、有料のポケットティッシュを買うことはなくなります。
それでもなかなか減らなければ、家じゅうのティシュボックスを隠し、代わりにポケットティッシュを出しておきます。
隠してしまうのは、両方出していたら、いつものティッシュボックスを使ってしまうからです。
それでもなかなか使いきれず、消費速度が遅くてもどかしいと思うのであれば、皿洗い時の油拭きに使うためにキッチンに備えるとか、簡単な拭き掃除の使い捨て雑巾として使うために掃除道具の収納場所に常備しておくとか、使える場面を積極的に見つけ出していきます。
消費できるように工夫をし、積極的に使っていくことを考えます。



そうなのです。
モノはしまい込んでいても、それだけで役に立つことはありません。
所有者が活かすことを積極的に考えていかなければ、モノが勝手に自分を活かし始めることなどないのです。
それをしないから、「いつか使うかもの〈いつか〉は絶対来ない」のです。
保存だけではモノは活かせません。
保存した後には管理をする。
そして、この場合の管理というのは、モノを活かせるよう積極的にアクションを起こすということです。

やみくもにモノを抱え込むのはよくありませんが、活かす努力もせずに片づけを処分だけで進めるというのも、これまたよくありません。
使える場面のイメージできる「いつか使うかも」というモノは、きちんと保管をしていきましょう。
それにより、モノはちゃんと活かされます。

関連コラム
いつか使うかもと取っておいたモノが活かせる、とっておきの収納法

この記事を書いたプロ

収納工房CozyStyle神戸 [ホームページ]

整理収納アドバイザー 遠藤亜紀

兵庫県神戸市東灘区御影山手 [地図]
TEL:080-5702-1900

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